建築設計って何をするんだろう? [ ・デザインと設計]
知られているようで知られていない、建築設計という仕事。
今回は、建築設計の仕事について、僕の考えをまとめてみたいと思う。
(異論反論、ご質問はご自由にどうぞ!)
さて、、、
こと住宅の用途で、木造住宅だけに限定して言うと設計士はいなくても家は建つ。
極端な話、図面がなくても家が建つ。
一方、、、
殆どの木造住宅は、建築士の資格が無くても設計することができる(建築士法 第3条)。
木造2階建て以下で、述べ床面積100㎡以下、高さ13m以下、軒高9m以下なら
建築士資格は不要なんです。
但し、設計料をもらって設計業務を行なう場合は、建築士資格を保有する建築士事務所
でなければ行なうことができません(建築士法 第23条)。
つまり、、、
施主自らが住むために建築する一般的な木造住宅なら、建築士の資格がなくても
設計することが可能なのである。
しかし、、、だからといって
「じゃ、自分でやろう!」と言う人は極めて少ないだろう。
面倒以上に判らないことの方が多く、素人の自分がやったら何かと不安ですからね。
(だからこそ、姉葉元建築士の行為は許せないんですけど・・・)
そもそも、建築設計の仕事って何だろう?
建築設計から想起する、一般的なイメージは、
設計図、デザイン、模型、クリエイティブ、安藤忠雄等はポジティブなイメージで、
言うことを聞かない、勝手に作る、予算オーバー、気難しい、使い勝手が悪い、高い、
難しい話をする、変人(そりゃ言い過ぎか?)辺りがネガティブイメージじゃないだろうか?
先日の建築基礎セミナー冒頭で質問した時もこれに近いキーワードがあった。
これって、ほとんどテレビやドラマで作られているイメージじゃ
ないだろうか?
それだけ、身近で接することが少ないんでしょうね。
前置きが長くなったけど、僕が考える建築設計の仕事とは?
建物に施主と設計者の意思を込めること。
突き詰めて考えた結果、僕はこれに行き着いた。
どういう意味かというと、
設計図は、施主の意思を建築に携わる関係者が見えるように表現したもの。
施工を担当する職人さんや監督は言うに及ばず、建築指導課の担当者、材料の見積りを
行なう営業担当者が見るし、発注者である施主が確認するためのもの。
デザイン図も模型も、スケッチも、すべてそのプロジェクトを遂行するための
ツールに過ぎないと思う。
設計者の仕事を削ぎ落として、削ぎ落として、削ぎ落として・・・結果残ったものは、
設計者が代弁した施主の意思だけだから。
ある素晴らしい建物があったとする。
その建物を紹介する言葉は、すべて施主の意思であり、それを設計者がアレンジして
アレンジャーとして表現されたものだと思うんです。
先日の住宅基礎セミナーで受講生に話した自分の言葉でそれに気が付いた。
人に教えることのメリットは、自分の考えが整理できることにあるんですよね~
今日の説明について、意味不明とか、ここが良く判らないから説明しろ!っていうことが
あったら遠慮なくどうぞ。
もしかして、前言撤回となるかも。。。
良いことおっしゃる!
何となく建築士=アーティストというイメージがあります(笑)
でも、多くの場合、設計するのは「他人の家」ですものね。
お客様の意向を汲み取って、期待以上のものを作っていく。
家を建てる前にそんな建築士に出会いたかったですよ…うーん。
そうそう、前に受けたセミナーで、同じことを言われました。
「プランナーはお客様の代弁者たれ」と。ワタシもガンバロ。
by JOHN (2007-04-30 07:28)
前言撤回はする必要はありません。
おっしゃる通りだと思います。
しかし、問題が一つ存在しそうです。
私は常々、家づくりで最も大事なことは『コンセプト』だと言っていますが、
コンセプト持たずに家づくり使用としている方が多いのです。
コンセプトがない人に主張はありません。
「家は買う物」だと思っている。
これを先ず払拭する方法をご教示下されば有り難いのですが・・・
by アキラ (2007-04-30 11:27)
>建物に施主の意思を込めること
これは、私達施工者も同じです。
つまり、モノヅクリの基本ですかね♪
by macoto (2007-04-30 11:43)
●JOHNさん
確かに、建築士=アーティストと言うイメージも多いかもしれませんね。
ただ、それはごくごく一部のスター建築家の話ですよ。
今回は建築家を例に挙げましたけど、クライアントからの依頼を受けて
クリエイティブなサービスを行なう職業すべてに言えると思って、
持論を述べました。
JOHNさん風に言えば、建築家は建築の営業マンだと思っています。
●カフェオランジュさん
niceありがとうございます。
●アキラさん
僕も同じ考えです。
なので、、、一年前にコンセプトの重要さを解説する記事を書きました。
http://blog.so-net.ne.jp/cafe_sora/2006-04-04-1
アキラさん達が同じ考えだと言うのがメッチャ嬉しいです。
コンセプトは施主、設計者、施工者共に重要ですね。
僕はまず施主との対話から、コンセプトメイクに重点を置くようにして
います。コンセプトをキッチリと共有できると良い仕事ができますから。
●macotoさん
ええ!モノ作りの基本だと思います。
いわゆる物体としての物でなく、ラジオ番組やサービス等の無形のモノを 作る時も同じですよ。
意志のないプロジェクトは、失敗に向けて突進しているようなものでしょう。
今回は設計者視点の持論を述べさせていただきましたけど、
施工段階においても同じですね。
設計段階の作業は、「意志固め」そのものですが、意志のない施工者に
施工されたら似て非なるものになりますから。
by 浜松自宅カフェ (2007-04-30 15:17)
仕事をしていると建築設計とは何かと日々思います。そしてそもそも存在意義があるのか?と考えることは多々あります。仕事=商売として考えていくのであれば需要があるから商売が成り立ちます。素人が設計することについて異を唱えるつもりはありません。法で認めれていますので。しかし、この世には時間が決まっていてほとんどの人は仕事であったり、家事であったりといった生活のためにこの時間を使わざるを得ません。日々生活していればほとんどのことを他人に依存せざるを得ません。
建物が実現するための中のひとつの手段が建築設計では。
建築設計を仕事としているのであればそれをしている人はこの手段に必要性と正当性を見出しているはずです。どこまでの精緻さを求めていくか、心をこめていくかはそれを求める人と行う人(設計者)しだいということになるのでは。
私はこの設計という手段が必要であると信じています。
by (2007-04-30 21:37)
●ヒゲボーズさん
はじめまして。私の戯言にお付き合いいただきありがとうございます。
何より、僕も建築には設計と言う役割が非常に重要であり、本来欠かせ
ない職業だと思っています。
そんな中、私も(建築)設計の存在意義を何度も考えていました。
ヒゲボーズさんの職業観についてとやかくいうつもりはありませんし、
おっしゃる意味もほぼ理解していると思います。
その上で僕がここで述べたことは、僕の存在意義だと思って下さい。
もっと言えば、僕の職業観かもしれません。
一部の住宅にしか設計事務所が関与しない日本の住宅産業において、
僕のポジショニングを示したつもりです。
どんな職業、商品にせよ存在意義がなくなれば、市場から消え去るだけ
でしょう。
施主が建築を建てるにあたり、どんなパートナーと組むかは施主の選択
権の中にあり、現状はハウスメーカーかホームビルダーが主な選択肢に
なっているのがその結果だと思います。
今回のメッセージは、これから僕のクライアントになるだろう方、そうでなく
とも共感し、そういう家作りをされる方の参考になればと思い、偉そうに
述べさせていただきました。
今後も宜しくお願い致します。
by 浜松自宅カフェ (2007-04-30 22:28)
浜松自宅カフェ様
先ほどniceを打ち忘れましたので再び戻ってまいりました。
自分は無謀にも事務所を立ち上げた際に『1年間何も仕事がなくてどうせ事務所をたたんでしまうだろう』と思っていました。田舎では大工さんが幅を利かせていますから、設計の意義というよりは設計図や設計監理というものの存在意義が危うい存在であったと感じていたからです。実際、私の近所の古くからの知人でも住宅の増改築の際にはまず、大工さんや材木屋さんに声をかけているケースが大半です。なにしろ設計事務所を営んでいる方のほとんどが世襲であったり、大工さんの子息です。
当初はこんな半消極的な姿勢であったのですが、年に数件は住宅の設計監理を受注することができるようになった今は建築設計の必要性を確信しています。必要性を確信できたのは施主さんの”ことば”でした。必要性を様々な方に知ってもらうためにはまずは良い結果を残していくことだと肝に銘じております。
by (2007-04-30 23:18)
お客様の意思、お客様が何を喜んでいただけるのか、その辺りが浜自カフェさんは良くお分かりなのでしょうね。
接客においても、お客様が何を望んでいるのか、そこのところに先回りできて初めて感動していただける、それってこちら側の一方的な思いだけでもダメのような気がします。こちら側の思いの上にお客様の思いや意思を乗せて形にする。そんなところが共通するのでしょうね。
by (2007-05-01 00:51)
施主あっての建築ですものね。大切なことだと思います。
今の私の仕事は、なかなかそういう観点から建築を見れてない気がします。寂しい限り・・・
by gottu329 (2007-05-01 08:12)
●ヒゲボーズさん
ご丁寧にありがとうございます(笑)
ご事情良く判ります。僕もそれを認識していますから、こういう活動を
地道に行なっているわけです。
浜松エリアは有数の住宅激戦区で、ありとあらゆる競合がひしめいている
エリアなんです。
なのに、「うちの希望する家を建ててくれるところがない!」とおっしゃる
お施主さんがいらっしゃるんですね。
そういうクライアントさんは本質を見極め、独特の住まい感を持っていると
思います。そういうクライアントさんは、街を美しくする切欠になる建築を
建ててくれると期待しています。
建築設計は必要な職業です。理由は明確にあります。
お客様から支持していただけるよう、頑張りましょうね。
●eddieさん
そうですね、きっと同じだと思います。こちら側の思いだけでは空回りに
なってしまいますよね。
価値観を共有できるクライアントさんとの仕事はとても楽しく、出来上がった
建築も存在感のあるものになるようです。
●hgchさん
確かに、hgchさんの立場だと難しいでしょうね。物わかりの良い施主や
設計者ばかりじゃないでしょうから・・・
如何に法の目をくぐろうか画策している人が多いのも事実でしょう。
僕の相方はそういう立場に対しても配慮ができるので、信頼しています。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-01 10:14)
どんな職種にも共通して必要とされることが書かれているように思いました
このようなポリシーのかたならば 安心信頼して 物事を相談できると思います^^
オイラが建築士さんに求めるのは 信頼でき、確かな専門知識を持つブレーンとしてのプロフェッショナルです^^
なんかうまく書けませんでしたが^^; そんなことです^^
by (2007-05-01 13:33)
ps アキラさんのコメントに激しく同意します
お金払うから満足させてくれ・・では いいものできるはずないですよね^^
たしかに 家って安い買い物ではありませんが それも当たり前 だって たくさんの資材 労力 財産が費やされるんですから^^
オイラの勝手な考えですが 建築家に普通の人が求めるのは ある種の啓蒙なのではと思います
こんな家もあるんだよって^^
そこに 建築家の方が クリエイターたる アイデンティティーが 存在するのでは??
by (2007-05-01 22:00)
●dennさん
そうなんです。実はどんな職業にも通じるものだと思います。
これまで「建築」と言う業態を勉強する機会がありませんでしたよね。
アキラさんの「家作り学院」もそういう場を提供するのが、目的なのだと
理解しています。
実は、僕がカフェを作るのもそれなんです。
この問題は根が深く、一朝一夕には片付けられないんです。
問題は一つじゃないから・・・
ヒゲボーズさんのコメントもその代表的な例だと思います。
必殺技的なものはなく、地道に活動していく方法しか思い付きません。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-01 23:58)
おっしゃるとおりだと思います。
僕は良い建築というのはオーナーや利用者が満足するということだと思っています。これはますますHPを楽しみにしてますよ(笑)
by plusgate (2007-05-02 19:23)
●plusgateさん
ありがとうございます。設計者の存在価値を上げる仕事をしていかないと
ここで言ったこともウソになってしまいますから、頑張りますよ。
ところで、「plusgate」と言うHN、お名前を英訳したものなんですね?
(今朝、気が付きました・・・)
by 浜松自宅カフェ (2007-05-02 20:05)
家を建てるときに感じたのですが、設計士の方って専門職でもあり、営業でもあるんですよね。基本は経験や能力を生かした、よきアドバイザーさんのような印象でした。
今回は普通のハウスメーカーですが、設計士さんに頼むとなる何かに特化したコンセプトでお願いしそうです。たとえばガレージハウスのようにリビングから愛車を見たいとか。やっぱ絵と一緒で、その方の一回目の設計図案を見て「うn、この人」って思ったら最後まで付き合っちゃいそうです。と、素人がナニを書いているのかよくわかんないので、気にしないでください。
by ゆつき (2007-05-04 23:29)
●ゆつきさん
苦労して、思い通りの家を建てた方ならではのコメントですね。
的を得ていると思います。
いえ、お施主さんは最初はすべて素人ですよ。
そうですね、設計と施工を分離して家を建てるなら、100%自分仕様の
家を建てて欲しいと思います。
ハウスメーカーではないことのメリットは、「あなたが建てたいと思った
ものが出来るんです!」これが殺し文句でしょうか?(笑)
そんな訳で、今日お祭り好きの家族に「浜松祭りを年中楽しむ家」を
提案しました。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-05 00:29)
「じゃあ、自分でやろう」って建ててみたいものです(笑)
施主の思い描く漠然としたイメージを咀嚼して描き出してくれるのが、建築家というイメージがありますね。
ま、いずれにしても施主も「お任せ」じゃいけないんですよね!
by hidenosuke (2007-05-07 18:22)
●hidenosukeさん
hidenosukeさんなら、実施設計を委託するだけで、かなり満足度の
高い家が作れるんじゃないですか?大変ですけどね。。。
いわゆる「すべてお任せ!」の事をおっしゃっているのではないでしょうけど、
「何がしたい!」を明確に描いてもらい、判断がブレ無いことと、最終決断を
する義務(権限)があることを認識していただくことだと思うんです。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-07 23:03)
そうなんです。大学の同級生が昔つけてくれたものです。
ほんとは屋号にするつもりだったんですが、
嫁の猛反対にあい、断念しました。
by plusgate (2007-05-09 17:04)