自分のこと、目指していること(2/3) [□はじめに]
超個人的な記事なのに、思っていた以上にアクセスがあるのが不思議です(笑)
他にも書きたい記事が幾つもあるので、とっとと終わらせたいと思います。
このシリーズのタイトルを、自分のこと、目指していることとしました。
すなわち、僕が誰で、このブログやひなたCAFEを通して何をしようとしているのか?
を整理して伝えるのがこの記事の目的です。
そのため、僕がなぜそういう結論に至ったのかを知っていただくためにも、
今回はランドスケープデザインをしていた、前職の建設コンサルタントと言う職業のお話です。
そもそも、建設コンサルタントと言う職業を詳しく知る方は少ないはずですから、
どのような職業なのか、まずはかいつまんでご説明致します。
建設コンサルタントとは一言で言うと、
建設事業を行なうために必要な技術サービスを提供する人や企業のことで、
中央官庁を始め、都道府県や市町村等の自治体の他、大手デベロッパーが主なクライアント
になります。
・・・と言ってもこれでもまだ判りませんよね?
では、例を挙げて説明しましょう。
皆さんが普段使っている道路や橋、トンネル、公園、空港、港湾の他、大型の宅地開発等の
建設工事に必要な測量、地質調査、土質調査業務の他、都市計画立案、設計業務の
一部もしくは全部を請け負う職業です。
一部の技術だけを請け負う会社を専門コンサルタントと言い、複数の技術サービスを提供する
会社を総合コンサルタントと呼びます。
僕と嫁さんは、某財閥系の総合コンサルタント東京本社に勤務していました。
組織は、地質部、測量部、道路トンネル部、水工部などがあり、
僕と嫁さんは地域開発部という、主に面開発を担当する部門の中の緑地計画課に属し、
公園、道の駅、駅前広場、ペデストリアンデッキ、野球場、サッカー場、親水護岸などの
環境や景観(ランドスケープ)デザインに関わる設計業務を行ないました。
地域開発部にはさらに、都市計画を立案する地域計画課、住宅地や工業団地の
宅地開発を行なう地域開発課などがあり、それぞれ10数人のスタッフが首都圏と信越を含む
東日本エリア全域を対象としていました。
僕がいた会社では、各スタッフへの案件の割り当てはこんな感じで来ます。
上司「浜自カフェ君、ちょっと来てくれる?」
浜自「ハイ」 (上司のデスクへ)
上司「昨日、△△県××土木事務所から『道の駅』の基本設計を500万で受注した。
君に担当して欲しい。工期(設計期間のこと)は来年3月末。
初回打合せは来週水曜日の午後にしようと思う。
営業担当は△△支店の○○さんで、初回打合せに同行するから支店へ集合。」
浜自「はい。」 ※心の声(道の駅か~?どんな要求だろう?初めてだしできるだろうか?心配・・・)
こんな感じで、業務内容の説明を受け、同時に発注仕様書と大雑把な現地地図をもらい
ファイルに綴じます。
年度末にはファイルの数が10数冊になり、その数だけ物件を抱えることになります。
一日2件の打合せをこなしたとしても、一週間で10件。
作業はいつやるかと言ったら、夜やるしかないわけです。
また、管理する上司は部下の数だけプロジェクトを抱えるため、実質的に目を通すことは
できませんでしたね。
公共工事は『設計』と『施工』の分離が原則であり、ゼネコンによる設計施工ができません。
そのため、設計業務を建設コンサルタントが担当し、工事は規模や難易度により業者を指名する
指名競争入札で選ばれた施工会社が担当します。
建設コンサルタントは、その案件の業務内容が測量、地質調査、基本設計であれば、
要所要所で役所の担当者と打合せを行ない、業務を進め、最終的に設計図面や報告書と言う
成果物にまとめ、製本し検査官から検査を受け、成果物を納品し、完了、入金となります。
例えば今回のように『道の駅』の設計依頼を請けた場合、役所の担当者からは、
「町の目玉となるような施設にして、町の活性化につなげて欲しい」
とか
「有料道路の核となるような施設にし、道路利用収入を増やしたい」
と言う要望を伝えられます。
(入社4年目に担当した有料道路の休憩所は本当にこんな感じでしたね)
初回打合せのあとは作業を進め、不明な点は文献を購入して調べたり、
参考になる事例を見学するなどして提案をまとめると担当者にアポをとって打合せをします。
公園でも道の駅でも同じですが提案したプランを発注者が承認し、図面を完成させれば
安くて数千万、大きな事業だと数億の税金が使われ、2~3年後には設計したものが
完成しまいます。
こうして、何箇所も地図を書き換えてきました。
(後にGoogleマップで設計したものを見ることができるようになるとは想像できなかったですが・・・)
こう言う話をすると「凄い!」とか言われるのですが、僕がたまたまそういう職業についただけの
ことで同じ立場であれば極端な話、誰でもやれてしまうのです。
それ故、とても怖いことだと思うようになりました。
と言うのも、僕は浜松出身で雪国の生活を知りません。
除雪なんてやったことありませんし、水道が凍る不便さも知りません。
当時は独身で子供がいなければ家庭もありません。
そんな若者がヒョロヒョロと山形県とか新潟県から仕事を受注し、たまたま僕が担当し、
文化も生活も知らないのに偉そうにプランを作って、結果的に構造物を作ってしまう
わけですから。
そんな僕らが結婚し、子供を連れて公園を使う立場になってみて初めて、当時の自分達の
仕事の浅さに恥ずかしくなりました。
嫁さんと「今なら違う公園になっていたよね?」と言い合ったほど。
しかし、当時はバブル崩壊後の公共投資が好調で朝昼晩と仕事に追われ、
「お金は要らないから休みをくれー!」
と言う心境になり、社会資本を作る役割を担っていたはずなのに仕事をこなす事に
優先度があがってしまっていたのです。
(と言っても、単なる甘えでしかないですが・・・)
その頃、山形県の発注で大規模レクリェーション公園の工事が実施され、天然のブナ林が
大量に伐採されました。
そのための設計図書を作成したのは僕だったため、伐採後の現場を見た時の衝撃は
今でも忘れられません。
ただ一つ、言い訳をさせていただくと伐採提案をしたのは僕ではなく、
他のアトリエ系デザイン系事務所が作った計画を僕が実施図面(工事をするための図面)として
まとめただけですが、結果としてその手助けをしてしまったことにとても後悔し、
その時に初めて本気で、「もう辞めよう!」と思いました。
しかし、自然の持つ回復力は実に凄いもので、浜松へのUターン転職から2年後、
嫁さんと二人で山形と宮城の担当した物件見学をしたのですが、4mもの積雪がある現場にも
関わらず、ブナ林はじめ広葉樹林がかなり復元し始めており、少し安堵したものです。
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ん~、くどいですよね?
長くなりましたが、次回こそ最終回にします。
久しぶりです。
元同僚として、改めてコンサル時代のはなしを読むと懐かしさや、後悔がよみがえってきますね。
某財閥系コンサルも今では後ろ盾を失って普通のコンサルになってしまいました・・・残念!
ひなたカフェへはなかなか行けないですが必ず行きます。
by カラシレンコン (2009-12-16 10:39)
書き足りないのでは?(笑)
個人的には、その後が一番興味があります。
by plusgate (2009-12-16 11:15)
●カラシレンコンさん@コンサルの元同僚
久しぶりです。
もう読んでないと思ってたよ!(笑)
建設コンサルって知られている職業じゃないし、業務内容までわかる人は
皆無に近いからね~。
僕の仕事感に大きな方向性を与えてくれただけに、この話は欠かせ
なかったのですよ。
この記事書くためにHPチェックしてみたけど、まだ残っているね!なぜ?
●plusgateさん
新卒後の9年間、打込みましたからこれだけで語ることはもちろん
無理ですよ!
それこそ色々なエピソードがありましたけど、コンサル時代の仕事で
得た教訓ややり残したことが今の自分を形作っていますから、
その部分だけに絞りました。
「その後」ってどの後ですか?
by 浜松自宅カフェ (2009-12-16 13:10)
もちろん、浜松に戻られてから今に至る経緯ですよ。
by plusgate (2009-12-16 22:02)
●plusgateさん
もちろん、それは次回で。
(・・・って、言ってなかったのですね!)
by 浜松自宅カフェ (2009-12-17 01:51)
コンサル時代のお話、色々複雑な思いもあるようですが、自分がやってきたことの“足跡”が残っていることは羨ましいと思います。私も早く続きを知りたいっ!!
by catherine (2009-12-17 14:38)
●dennさん
nice、ありがとさん!
●catherineさん
そりゃ、濃い~9年間でしたから(笑)
確かに足跡が残っているのは今でも嬉しいですね。
この記事は書くのにとても時間がかかるので、「エイ!」と気合を
入れないと書けないので少々お待ちを~。
by 浜松自宅カフェ (2009-12-17 20:48)
じっくりと読ませていただきました。
今、関わっていることの参考になることも多々あります。
次回が最終回ですか・・・。楽しみにしております。
by ムク (2009-12-18 20:54)
●カフェオランジュさん
nice、ありがとうございます。
●今造ROWINGTEAMさん
nice、ありがとうございます。
●ijimariさん
nice、ありがとうございます。
●ムクさん
改めて読むととても読み難い文章でした。
それなのにじっくりと読んでいただいたようで恐縮です。
それでも何かしら参考になったようでしたら嬉しいですよ。
コンサル時代に得た経験、Uターン後に知った住宅業界の現状。
そんなことから僕はある決断をし、ひなたCAFEの開業に向けて
活動することになるわけです(予告)
by 浜松自宅カフェ (2009-12-18 22:58)
●kurizoさん、kakasisannさん、Combat!さん、まちゃこさん
nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2009-12-21 01:02)