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土木と建築の違い [ ・ビオトープのある研究所]

土木設計を担当してくれた女性技術者が7月末で抜けたため、8月から開発業務を
引継ぐことになり、同時に建築の方も「建築確認」に入り、8月から9月は怒涛の
ように過ぎていきました!

この間に構造偽装問題で始まった「構造適合性判定」の他、延べ面積が1,000㎡を
超える建築に義務付けられる「浜松都市景観条例」、300㎡を超える建築に義務付け
られる「省エネ措置の届出「消防同意」を次々と処理していかなくてはならず、
アワアワしながら追われて過ごしていました。


その間も土木工事は雨と台風に悩まされながらも黙々と確実に進行していき、現場
からは度々、質問をいただき調べながら回答していくと言う状況でした。

DSCF0559.jpg
■地下調整池工事
この日はコンクリート製地下調整池の底版鉄筋工事の立会いでした。
完成後は地下に埋設されてしまうのと構造上重要なため、設計者として底版や
立上り部分の鉄筋径とピッチの確認をしました。


その後は、生コンの受け入れ時の品質確認です。
設計仕様通りの生コンが使用されているか、最初に確認します。

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■空気量の検査
生コンクリートは施工(打設)しやすいよう、4~5%の空気の泡を混入させます。
空気が多すぎても気泡だらけのスカスカのコンクリートになってしまうため、
生コン工場で製造する際にしっかり管理してもらっていますが、現場で受け入れる
際にその最終確認をして使用します。



DSCF0581.jpg
■スランプ試験
スランプ試験とは、簡単に言うと生コンクリートの流動性を確認する試験です。
方法は、高さ3cmのコーンに生コンを入れて突き固め、ひっくり返してコーンを
抜き取った後の下がり高さを測定します。

この生コンは、8cm下がっている事からスランプ8cmとなるわけですが、建築工事
と土木工事の違いはここに現れています。


建設コンサル時代にコンクリートの仕様を記載する際は、スランプ8cmとするのが
基本でしたし、それを疑ったこともありませんでしたが建築工事の場合は、
15cm以上が普通です。
スランプは15cm以上無いとポンプ圧送できないと聞いていました。


しかし、、、


DSCF0594.jpg
■生コン打設作業
難なく圧送していました!
正確には難なくではなく、何とか圧送しているそうです。
でも御覧いただくとわかるように、生コンクリートは固く、勝手に流れて
いきません。

その分、土木構造物は建築構造物よりも断面が大きく、比較的単純な形状に
なっています。
つまり、土木は固い生コンを打てるように断面が設計されたのだと思います。


一方、建築物は複雑な形状で断面も小さいため、より流動性の高い生コンを
使用するようになったのではないかと解釈しました。



DSCF0590.jpg
■均し作業
大量のコンクリートを次々に投入していくため、バイブレータで生コンを液状化
させる人、トンボやコテで均す職人さんが手際よく作業を進めます。


こうして仕上がったコンクリート構造物は、固く密実で強く、打ち放し面の肌も
とても美しいんです♪
これを見ているだけで、とてもテンションが上がります。



無礼を承知で「今日は設計者が立ち会うから?」と監督に聞いたところ、
「いつも8cmですよ!」との回答。

「スランプ8cmでもポンプで送れるんですね!」

「ギリギリですけどね~。12cmまで許容してはどうか?と言う話も出ている
 ようですよ」

と教えてくれました。


考えるに建築と土木ではその成り立ちや要求がかなり異なりますから、何となく
わからないでもないですね。
今回はとてもいい経験をさせてもらいましたから、ビオトープ工事にもぜひ
活かしたいと思っています。

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浜松自宅カフェ

●jun-arさん、鉄腕原子さん、soramoyouさん、@ミックさん
 nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2018-10-16 19:05) 

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