なぜ僕は「ビオトープを作りたい」と思ったのか [ ・ビオトープのある研究所]
工事関係者に限らず「ビオトープ」について話していて気付いたことがあります。
それは、「ビオトープ=池、沼地」と言う理解。
それは、「ビオトープ=池、沼地」と言う理解。
ほぼすべてに近い方が、ビオトープとは「池」や「沼」と言う「モノ」として理解して
いたため、「ビオトープとは生物生息空間のこと」と説明を加えるわけですが、それは
「動植物にとって有害な材料を使用しないでね」とお願いをするためでした。
設計段階での僕の理解はここまででしたが、実際に「材料」を選定し「構造」を考える
段階になると、それでは考えが浅いことに気づきました。
■我が家の庭にある水鉢
この水鉢では最初の頃、近くの水路で捕ったメダカを育てていましたがここ数年は
ヒツジグサを育てる程度でした。
この水鉢に先日、ため池から保護した魚をとりあえず入れたのですが、水が濁って魚が
見えなかったため、寒くなる前の休日を使って水替えをしたわけです。
すると魚達の泳ぐ姿が見えるようになりました♪
いかがでしょうか?
もちろん、金魚や錦鯉と比べて地味で目立ちませんが、フナやドジョウ、メダカ
ともまた違いますよね。
この魚達(モクズガニもいます)の行動をジ~と眺めていて、幾つか気づいた事が
あります。
これらの魚はモツゴ(クチボソ)、ホンモロコ、タモロコと言ったごくありふれた
魚ですが、都市化街では殆ど見ることができなくなりました。
さらに、ウグイなどとまとめて「ハヤ」と呼ばれる事が多いと思く、写真をアップで
見比べないと中々判別が付きません。
■観察用のプラケースで魚種の確認
調べるとホンモロコはタモロコから分かれて琵琶湖の固有種になったようで、
遺伝子的に近縁種になるため、これらは混雑することもあるようです。
混雑するとどちらかの特徴を持つためさらに特定が難しくなります。
ではなぜ、設計者の僕がこのような魚類学者のような調査をするかと言うと、
ビオトープの工事と密接に関係しているからです。
(実際に魚を飼育して、その行動を見ていて気付きました)
もし、「ビオトープのゴール」を、池の完成までとしてしまうとここまで
する必要はありません。
「ビオトープ(=池)を作ったから、後はお施主さんの方で上手に使ってね!」
で終了です。
しかし、ビオトープを生物生息空間とし、生き物が人の手に寄らずに自立的に
繁殖活動を繰り替えす自然環境をゴールと据えるとしたら、その生物の生態を
知らないとできるわけがありません。
今回、貴重な休日に水鉢の水を替え、透き通った水で泳ぐ小さくて弱く臆病な
魚達の行動を見て、さらに内なる自分の想いにも気づきました。
「僕はビオトープを作りたかったのではなく、失われつつある日本の自然環境を
取り戻したかった」
その手段がビオトープだったと言うことに気づきました。
一方で、ビオトープの工事費も保守費用も企業が用意します。
多額な整備費と保守費用がかかる割に利益に貢献しないビオトープが、企業の発展、
継続に寄与することが裏付けられたとしたら意識が変わると思いませんか?
同じ想いを持つ事業者も本当のビオトープで子供の頃に見た自然景観を子供達に
見せたい思ってもらえるかもしれない。
そうすれば、地域の自然環境を復活したり、失われる事の歯止めになるかも
しれないと直感したのだと思います。
街の個性を表現したいと思って、ひなたCAFEをオープンさせたのが今から10年前
ですが、基本となる考えはまったく変わっていません。
それよりも大きな実現の場をいただいたプロジェクトですから、絶対に失敗したく
ないと思ったわけです。
モクズガニもしっかり生きていました♪
今週はいよいよ地鎮祭。
決めなくてはならない事は山盛りですが、工事関係者にもしつこく話して、
一緒に良いモノを創っていけたら幸せですね。
●鉄腕原子さん、@ミックさん、soramoyouさん、jun-arさん
nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2018-11-20 14:39)
ビオトープ 憧れますね(*^_^*)
by mayu (2018-11-21 10:36)
●mayuさん
コメントありがとうございます。
皆さん、興味もあるしやりたいけど、工事費とメンテナンス費用が
気になって中々手が出ないようです。
この物件も同じですが、できるだけ保守費用を軽減しつつも「この
ビオトープならやりたい!」と思ってもらえるものにしたいと
苦心しております。
by 浜松自宅カフェ (2018-11-21 11:08)