SSブログ

見えない部分こそ重要です [ ・ビオトープのある研究所]

建築に限ったことではありませんが、長期的な価値を図るには外から見えない部分
こそ重要だと思います。

と言うのも完成直後の真新しい状態では、表面に貼られ彩られたものしか見えない
からです。しかし、建築物は1年365日、暑さ寒さの温湿度変化で伸びたり縮んだりし、
地震や台風で揺らされて歪みます。

すると、動きに耐えられなかった表面材は剥がれ、ひび割れて完成時の美しかった
建物が1年後には見るに耐えない姿になったり、雨漏りやカビに悩まされる事態に
なってしまうことも少なくありません。

Photo_3.jpg
これは何の工事写真かわかりますか?


Photo_4.jpg
■土間コンクリートの打設作業の様子
土間コンクリートとは、地盤で支持された鉄筋コンクリートの床下地のことで、
表面に仕上げ材を貼られると張り替え以外では見ることはありません。

工事の様子を目にする機会も少ないですから、意図的に手を抜くことや品質を
落とすことも可能な部分です。


Photo_6.jpg
総勢20人以上の職人さん達が昼食もとらずに黙々と各自の仕事をします。

「コンクリートなんてドロッと流して固める簡単な仕事でしょ!」

と思っていませんか?

過去にも住宅建築の記事で、コンクリート基礎の素晴らしい施工技術を何度も
紹介していますが、コンクリート工事はとっても奥が深い高度な仕事です。


例えば、上の写真に参加している専門工事会社は何社あるか分かるでしょうか?

正解は、、、

①ゼネコン(元請け会社)の監督

②左官屋さん(生コンクリートを平らに均し締め固める職人集団)

③生コン工場(指定された強度、固さで工場で練った生コンを現場に納品します)

④圧送屋さん(荷下ろしされた生コンを指示された場所にポンプで圧送します)

⑤設計事務所(私です。荷下ろしされた生コンの品質確認をします)

これは上の作業に携わっている人(会社)の数であって、生コンを打つ前には
型枠屋さん、鉄筋屋さんも携わっていますし、今後作る壁の位置が分かるよう
墨出し(位置を出す)をする専門会社も入っています。


Photo_5.jpg
■生コンの品質確認
コンクリート工事とは、セメントと水が水和反応と言う化学反応を起こさせて
砂や砂利と言う骨材を巻き込みながら、大きな結晶体を現場に造る工事です。

それゆえ、生コンクリートが指定された品質であるかどうかを受け入れ時に確認し、
記録に残してから、現場に打設することが許されます。

コンクリートの水和反応は4週間以上の長い時間が必要となるため、1週間後、
4週間後に3本のテストピースを潰して、強度が実際に発現されているかを確認します。


木造住宅ではここまで行われることは少ないですが、僕の住宅ではこれと同じ
ステップを踏ませていただきました。
設計事務所の仕事と言うと、きらびやかなイメージがあるかもしれませんが、
お施主さんの大切な資金を預かって目的物を造る上では、実際は見えない部分の
仕事の方が重要でそんな仕事にこそ費用を割くべきと言うことを知って
いただきたいと思っています。

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:住宅

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント