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100tクレーンで幕屋根の揚重 [ ・浜名湖ガーデンパーク]

前回から1ヶ月が経ってしまいましたが、自身の記録でもあるのでやれる時にやれる
範囲で記事をアップしていきます。


さて、1年前の12月は「浜名湖ガーデンパーク屋外ステージ幕屋根修繕工事」の
建築確認(公共工事の場合は、建築計画と言います)の事前審査に出したところまったく
想定外の指摘があって対応に追われていました。

指摘内容は、設計者の見落としによるものではなかったため、発注者の県側が設計の
工期延長と契約見直しを打診をしてくれた時期でした。


工事が計画通りに進んでいたため、屋根工事を担当する予定だった会社の担当者に連絡
を入れて、屋根幕工事の日程を教えてもらいました。
Photo_2.jpg
■屋根幕を揚重したところ
グラスファイバー製の屋根幕も千㎡近くあると、巻き取っている芯材を含めると1t
近くあります。
それを片側から屋根の中心部へ向けて荷下ろしするために、100t吊のラフタークレーンを
設計に加えました。


Photo_1.jpg
■仮設計画立面図
住宅などの設計では仮設図を描くことは稀だと思いますが、入札で工事業者を選定する
大型物件や公共工事では、仮設計画をどのように見込んでいるのかで建設コストが
大きく変わってきます。

そのため、安全確実に工事ができる仮設計画が設計段階でも必要になりますが、自分は
工事監督の経験が無かったため、手探りで妥当性のある仮設図を作成しました。


Photo_0.jpg
■仮設計画平面図
平面図では、資機材の搬入ルート、重機配置を想定し、それらを取り囲むように仮囲い
とゲートを設けます。


建築設計と言うと完成したものだけで評価されてしまいますが、少ない設計費用の中で
経験の少ない設計スタッフ(←私のこと)で、契約工期内で終わらせ無いと発注者の
評価は下がってしまい、次年度からの指名が入らなくなるため責任が伴います。


Photo_0.jpg
■クレーン全景
見積り取得した時の調査では、この100tのラフタークレーンは静岡県内に3台しか無く、
その内の1台が「この日この時この場所に来て仕事をしている」事が感慨深かったです。

この仕事で学んだ最も大きなことは、仮設計画の重要性でした。
工事の完成引き渡し日から遡って、屋根工事を始める日が決まり、さらに遡って
多数の職人さんが安全に仕事ができる足場が完成していること、足場工事に
着手する前には綿密な足場計画があり労働監督署の許可が下りていること。


Photo_3.jpg
■屋根幕の展開作業
やはり実際に見ると見ないでは大きく違うもので、屋根膜を展開する際はクレーンを
使って広げていくものだと思っていました。
しかし、実際は大梁の上に乗った3人の職人さんが人力で1t近い屋根幕を引っ張って
いました。

「いっせーのソレ!う〜重い〜。誰か上がってこーい!」

と親方らしき人が声を張り上げていました。


ちなみに幕屋根工事の会社は、世界的にも有名な企業でオリンピックやワールドカップの
競技場屋根の他、万博などの仮設建築に使われることが多いため、この職人さん達も
海外での仕事経験がある人かもしれませんね。

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