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「ビオトープ」が目指すもの [ ・ビオトープのある研究所]

「ビオトープのある研究所」の設計を担当する事が決まってからこれまで自問自答
してきましたが、実際に形になってきたことでようやくその答えが見えてきました。

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■5/24の状況
雑木林の中の水辺景観をイメージしてきましたが、かなり近いものに仕上げて
くれました。
設計図では表現できないため、手描きスケッチを何枚も描き、施主に設計意図を
説明し、打合せた結果を現場監督と造園屋さんに伝えて進めてきました。



DSCF0958.jpg
■水辺のイメージ
この写真は川のもので、これを目指しているわけではありませんが、見比べて
いただくと雰囲気が良くわかると思います。



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■水辺景観のイメージ
川を橋の上から撮影した写真ですが、この写真から狙いを説明しました。
写真左上に「サギ」が一羽、居るのが見えると思いますが、完成して数年後には
こうなれば良いなと思っています。



「ビオトープ」と聞くと「池」や「湿地」を思い浮かべる方が殆どで、不思議で
仕方ありませんでした。
なぜなら「池」や「湿地」であれば、既に言葉として定義されているわけで、わざわざ
「ビオトープ」などと言う言葉を使用する意味がありません。


本プロジェクトのクライアントは、これまでの固定概念を打ち破る革新的な製品を
幾つも開発している企業ですから、「ビオトープ」においても本質的な価値を求めて
こられました。
そんなクライアントさんの要求が後押ししてくれたことで、表面的な「ビオトープ」
ではなく、ビオトープの本質に迫り、出来る事なら再定義したいと思うに至りました。



前置きが長くなりました。
結論を申し上げると、このプロジェクトにおける「ビオトープ」とは池や湿地と
言った「モノ」の事では無く、産業革命以降の近代化により壊してしまった自然を
人為的に再生しようと試みる手法のコンセプトの事と定義しています。

自然の生態系はバクテリアを含む目に見えないものから、周囲数キロ圏に生息する
鳥類、昆虫類を含む多様な遺伝子のバランスで成り立っていますから、同じものを
再現する事はできませんから「試みる」としました。

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