O川さんの家 1年4ヶ月ぶりの訪問 [ ・田舎暮らしの現代民家]
今日の午後、1年4ヶ月ぶりにO川さんの家へ行ってきました。
自他共に認める、ギター侍似のO川さん夫
(しかし・・・髪型こそ違うけど、この写真は特に似ているなぁ~w)
- アーティスト: 波田陽区, 吉川慶, 高見優, Audio Highs, ムラマツテツヤ, MCU
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2005/02/09
- メディア: CD
しかも、何気に僕のブログを読んでくれていました(ありがとうございます~)。
今回訪問した理由は、
「追加工事を頼みたいので、Y工房さんに連絡して欲しい」
と言うメールをいただいたから。
打合せ自体は、T監督だけで済むのですが引き渡して1年以上経つし、庭が完成してから
お邪魔していなかったので、設計のY君と遊びに行きました。
で、、、肝心の追加工事の打合せは、ものの15分程で終了。
後は、美味しいコーヒーをいただきながら3時間ほど雑談をしてきました。
田舎暮らしの楽しい話(かーなーり、笑えました)と都会暮らし(ご主人は神奈川出身)の違い。
それと、O川邸建築の苦労話(でもないけど・・・)に花が咲きました
家作りに携わった僕らが、何より嬉しかったのはお二人からの数々のお言葉。
「この家、とっても大好きです。外に出たくないんですよね」
「私(奥さん)の父は、この家を凄く気に入ったみたいで、私以上に詳しく説明してくれるの
ですよ。このキッチンもシンプルで大好きらしいです。」
「お父さんが家を建て替える時に、もし浜自カフェ達に依頼することになったら、間に入って
翻訳しますからね~」
「無駄なスペースがまったく無く、玄関脇に作った納戸はメチャ便利です」
「収納がとても機能的で、多少増えたモノも気持ちよく収まっちゃった」
「来てくれたお客さんみんなに、とても好評です。うちみたいな家に興味を持った友人には、
浜自カフェブログを紹介しておきました。ブログを読んで興味あるようだったら紹介するよ」
「家作りは、『あなた(施主)も努力しないと思った通りの家はできないよ』と説明しました」
「2階のバルコニーから、毎日の様に流れ星が見えるし、先日は野ウサギを見ました」
等々・・・嬉しい話の数々。
これ以上の感激はありません。やばかったです
ホント、「携わらせていただいて良かった」と思いました。まさにプライスレス
数億規模の公共事業の設計でも味わったことがない体験、ダイレクトな反応。
いやぁ~、今回伺って良かったです。
僕らもとても楽しかったし、元気が出ました。
O川さん、また美味しいスウィーツを持ってお邪魔しますね~♪
O川さんの「田舎暮らしの家」最終回 [ ・田舎暮らしの現代民家]
O川さんの家シリーズの最終回です。
下の2枚は、玄関ホールの夜景です。
玄関に一歩入ると、クスノキのベンチ、珪藻土の塗り壁、怪しげな照明が照らす
幻想的な空間が待っています。
インテリアは、ナチュラルモダンをベースに、アジアンテイストで味付けしてあり、
オーナーのライフスタイルが良く判ります。
玄関ホールに作ったニッチには、ピンスポットを入れました。
(オーナーの意向で、施工中に変更した部分です)
■100坪の敷地に建つコンパクトな家
当初の建築予算は、1,500万円以内。二人が実現したい生活を考え、詰めていった結果、
延べ床面積28.5坪のコンパクトなプランにまとまった。
それでも、2階の大きなLDK空間と、更に一体的に使える大きなバルコニー。
名産物の次郎柿の果樹園が見える主寝室、子供室2部屋、2坪弱の納戸、そして通称、
夫の「お仕置き部屋」も確保。
最終的には、当初予算を超えたものの、自分達の意向を実現する上での適正金額と判断し、
工務店との契約に漕ぎ着けることができた。
■O川さんご夫妻のこと
O川さんの「田舎暮らしの家」その5 [ ・田舎暮らしの現代民家]
O川さんの家シリーズの続きです。次回が最終回となります。
「庭が出来ました!」
と言うメールと一緒に、ヤフーフォトのURLが送られてきました。
下2枚の画像はO川さん自らが撮影したものを、許可をいただいてアップ致しました。
O川さん、ありがとうございます<(_ _)>
庭のデザインは、当初提案したものとは根本的に変わりましたが、これはこれでO川さんの
こだわりが感じられる、良い感じの庭になりました。
田舎の空は広くて、山の木々が作るスカイラインが相変わらず綺麗です。
そんな深い緑と、青い空、白い外壁が見事な調和を醸しています。
駐車場のコンクリートが、1階の黒い外壁を引き立たせています。
O川さんが、この写真を撮った意図がよく伝わってきますね。
芝生の緑も伸び伸びとしていて、気持ち良さそう!
引き渡したばかりの一年前の写真と見比べてみて下さい。
どちらの家に住みたいですか?
僕が庭(樹)にこだわる理由がお分かりになると思います。
庭は、建物を引き立てる「額縁」のようなもの!
いやっ、それ以上かな?
O川さんご夫妻が、最初からこの提案を理解してくれたのが嬉しかったです。
樹を植えると資産価値が上がると言う報告があります。
東大の空間情報科学研究センターの浅見教授が、小田急線沿線の地域を調査した例ですが、
近隣も含めて樹高3m以上の樹が15本以上ある場合、
住宅価格は34,000円/㎡上昇している。
と言うものです。
※出展:ハウジング・トリビューン№304 2006.5.26
土地価格が一桁も二桁も違うので、金額は参考程度に考えるとしても
緑豊かな家とそうでない家。
(ある程度は手入れが施されている前提ですが)緑豊かな住まいや街を選びますよね?
住まい選びに考慮する点として、アンケート結果にも出ています。
地域住民と仲良くなることもできるし、涼しくなるし、自然教育ができるしでお奨めです♪
次回は、「O川さんの家シリーズ」の最終回です。
O川さんからいただいた、田舎暮らしレポートもご紹介致します(笑)
O川さんの「田舎暮らしの家」その4 [ ・田舎暮らしの現代民家]
お待たせ致しました。今回はリビングダイニング(引渡し時)の内観です。
見え掛りの木材は、すべて天竜杉です。
正面左に見えるカウンターは、天竜檜の耳付きで、樹齢200年を超えています。
年輪はとても密で、何とも味わい深く、空間に重みが増しました。
カウンターの上部には、ピンスポットを設置し、夜はバーカウンターになります。
このピンスポットの提案のために、相方と寸劇を演じましたよ
奥さん「そんな寸劇までされたら、断れないじゃない(笑)」
正面右は、作り付けのオーディオボードですが、引き出し収納がまだ納入されていません。
正面の小部屋は、通称『お仕置き部屋』と呼ばれていた、O川さんご主人の
引きこもり部屋です(笑)
パソコンをしたり、趣味のギターが飾ってあり、夜な夜な音を出したりするそうです。
壁仕上げは、珪藻土塗り。ご夫妻の希望で、かなりラフに仕上げてあります。
玄関ホールに入ると、正面の壁のニッチがアイストップになります。
ピンスポットでニッチを演出しました。
ラフに仕上げた珪藻土のテクスチュアが良い感じです
生活の中心である2階リビングへのアクセスを優先した階段配置としました。
玄関ホール土間の靴脱ぎ石は、O川さんが走り回って自ら探しもの。
床材は、天竜杉の縁甲板で厚さが28mmもあります。
リボスオイル塗布の上、蜜蝋ワックス掛け(施主施工)を施しました。
裸足で歩くととても、気持ちが良いですよ
引渡し時に、設備機器の取り扱い説明を受けています。
システムキッチンは、ヤマハリビングテック製。人造大理石シンクがお気入りです。
真っ白いシンプルなデザインが、ナチュラルでモダンな空間に合っていますね!
右側の空間は、ウォーク・イン・パントリーです。
米国留学をしていた奥さんは、冷蔵庫も隠せる食品庫を強く希望していましたからね。
次回は、夜景の一部をご紹介し、このシリーズは一端完結します。
O川さんの「田舎暮らしの家」その3 [ ・田舎暮らしの現代民家]
今回は外部の写真を中心にお見せして、文章は少なめに。
下記の写真は、引渡し前日の検査の時のファサード(正面)全景です。
(この時点では、外構はまだ出来ていません)
屋根材は、ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き。屋根換気と棟換気を装備しています。
1階の外壁材は、ガルスパンt25竪貼り、2階はジョリパット(塗り壁)です。
配色は、模型製作の段階でほぼ決めていましたが、O川さんの決断もあり、とても
ストイックに仕上がりました。
O川さんご夫妻は当初から、リビングダイニングを2階に持って行くことを強く望んでおり、
大きなバルコニーと一体的に使用することをイメージしていました。
「最も多くの時間を過ごす、リビングの生活を中心に考えたい」
と再三要望されました。
これまでの、工務店は何故か?この要望を無視していたようです。
妻側に設けた三角形のハイサイドライトが、ファサードのアクセントになっています。
基本設計段階で盛り込んだアイディアの一つですが、上手くはまりました
8畳もの大きさのバルコニーが、O川邸の特徴を決定的なものにしていますね。
左上の小さなバルコニーは、サービスバルコニーです。
下屋(げや)部分の大屋根は日本の民家の伝統的なデザインであり、0川さんご夫妻が
大喜びされた車寄せの機能を併せ持ちます。
1階正面の外壁材は、杉(竹炭のタール塗り)の下見板張りです。
下見板の色出しには苦労をおかけしました。。。
が、張り終わった時、近所の年配の方から「懐かしい!」と声を掛けられたそうです。
黒が渋くて良い色でしょうイメージしていたとは言え僕らが、超感激した程です。
天竜杉の山に植えられていた、「境界木」のクスで作った玄関のベンチです。
脚付きなので自由に持ち運びができます。
境界木と言うのは、山の中の境界に植えるスギやヒノキとは違う種類の木のこと。
要は雑木なのだそうで、スギの伐り出しの際に「ついでに切っといて!」と山主さんから
言われて伐ったものなのだそうです。
いわゆる流通商品ではなく、製材所へカウンター材を選びに行った際に、特別に見せて
もらい譲ってもらいました。(浜自カフェでも使用)
1階のデッキに渡してある竹棒は、布団干し用のもの。
Y工房の代表K田さんが、探してきてくれました。
次回は、室内の一部(2階LDK)をご紹介致します。
O川さんの「田舎暮らしの家」その2 [ ・田舎暮らしの現代民家]
O川さんの「田舎暮らしの家」が完成して、明日で8/13で丸1年。
最初の相談から完成まで、実に1年9ヶ月を要しました。
この計画地は、農地を区画整理し宅地にしたもので敷地面積は100坪近くあります。
また、建築協定により、農村部の景観に調和するデザインが求められていました。
ところが、それを真正面から受け止めた意匠になったのは、ごく一部。
完成した他の家は、サイディング張りのいわゆる「ふつーの家」ばかり。
僕が提唱したのは、天竜杉を使った近代和風で、ランドスケープと一体になる家。
野暮ったい和風ではなく、モダンな民家住宅でした。
O川さんご夫妻は、そんな僕の提案をすんなり受け入れてくれました。
この模型は、基本設計が完了した時のもので、建物が完成する11ヶ月前に
製作したものです。
O川さんのご主人は、神奈川の出身で、それまで戸建住宅を建てることなど考えたことも
なかったのだそうです。「家に対する執着心などなかった!」と。
それがIターン就職で、静岡に転居され、奥さんと結婚したことで家を持つことを
真剣に考えるようになったらしい。
上棟式の際、ご主人がおっしゃいました。
「ネコと住む家を建てよう!と思ったのがきっかけでした。」
設計の着手にあたり、美味しいコーヒーを飲みながら、二人の思いや夢を話し合いながら、
カードに書き出してもらいました。
また、『設計者への手紙』も用意して下さり、コンセプトを詰めていきました。
プランを具体的な絵にしていくのは、ここからです。
最終的に確定したプランは、ファーストプランを2、3度修正した程度のもの。
しかも、最初のプレゼンは、超ラフなスタディ模型でした。
スタディ模型と言うのは、デザインを考えるために製作するもので、プレゼンに
使うものではないのですが、見せちゃいました♪
8月の夏真っ盛りに行われた、住宅設備の展示会のロビーで汗をかきながら・・・
セロハンテープで留めた、超ラフなものでしたが、O川夫妻の喜びようったら、
なかったです。
「この方向性で行こう!」と即決。
特に、喜ばれたがファサード(正面)の大屋根。
初期の段階で、ご主人が「できれば車寄せが欲しい!」と言われていたからですが、
正直、その時は実現するとは思っていなかったですねー(>_<)
雨の日でも荷物を濡れずに降ろせるだけでなく、この住まいを印象付けるものになりました。
この後、キッチンを中心に平面プランを詰めて行き、ほぼ確定と言うところで、
設計・監理の実務を担当するY岡君が基本設計図を描き、幾つか修正を加え、
さらに新たな提案を盛り込み、この最終模型を製作しました。
Y岡君が描いた基本設計図を元に、土曜日の夜11頃から模型の製作を始め、
模型が完成したのが3時過ぎ。
「おおっー、格好良いー!このまま作りてー!」
と眺めていると、ノコノコと妻が起きてきたので見せびらかすと、かなり眠かったらしく、
「良くできたねー!」の一言のみ。。。(オイ)
ランドスケープデザインは、前の会社でお世話になったHEDプランニングの
Aさんにお願いしました。
デザイン方針を話し合い、この絵が完成したのは建物が完成してから。
(筆が遅いのが玉にキズですが)
建物はこの後、基本設計が完成したあたりで、施工する工務店の選定に入りました。
この辺りの経緯は多少ややこしいので、別シリーズでお話しします。
さて、次回は完成写真の公開ですが、夏期休暇のため4日程更新できません。
ですが、nice!かコメントが9個を超えなければ、中止と言うことで・・・(笑)
あっ、でも同じ人がいくつもコメント入れるのはNGですからね
では、特に身内のROMの方よろしく!(←何がっ)
O川さんの「田舎暮らしの家」その1 [ ・田舎暮らしの現代民家]
浜自カフェを建ててくれた、ゆめ工房さんについてお話しする前に、
O川夫妻の「田舎暮らしの家」について、まずお話ししなければなりません。
てな訳で、O川さんの家作りをお手伝いさせていただいたエピソードを。
おじいちゃんの「田舎暮らしの家」の翌年(2003年11月)、
友人のO川さんご夫妻から、
「田舎に土地を買った。家を建てたいけど工務店が決まらない」
と相談を持ちかけられました。
よくよく話を聞いてみると、これまた酷い。
O川夫妻が、地元の大手工務店や建設会社に相談したところ、、、
「間仕切りで細々と仕切られていない、大きなリビングが欲しい!」
と要望しても、プランには何故か壁が入っていて、
「この壁要らないんですけど・・・」と再度要望しても
「やっぱり無いと困るでしょ?」
と明確な説明もなく、取り合ってくれない(怒)
「だから、、、要らないんだって言っているじゃん!と怒りモード。
また、「2階にリビングダイニングを作りたい!」と言っても、
「居るんですよね~そういう人、判るんだけど・・・」と鼻で笑われたり(怒)
「どこに頼めば、僕らが建てたい家を建ててくれるんだーーー!」
と怒っていました。
O川夫妻は、特別無理な注文をしているわけではありませんでした。
なので、幾つか条件を示し、それを承知してくれるなら「協力させていただく」ことに。
■O川邸を引き受けるための条件
①施主の権力を振りかざさない。
施主、設計者、施工者は対等な関係でパートナーとならなければならない。
出来たものを、「イメージと違うからやり直して!」はNG。
ただし、施主の要望は可能な限り受け入れる。
僕が、施主の要望を無視して勝手に設計しちゃうなんてことはありえない。
②施主の仕事をしてもらう。
収納量調査、要望カードの記入等は施主にしかできない作業だから。
③職人さんに直接指示を出さない。
現場が混乱するし、責任の所在が不明確になる。
④設計実務は別のスタッフがやること。
勤め人なので設計事務所登録ができない。なので、実施図面作成、契約の立会い、
建築確認や法的検査等を責任持って遂行するために指定する設計事務所と設計・監理契約を
してもらう。
ただし、コンセプトメイク、基本計画部分のまとめと全体の統括は僕が見る。
⑤美味しいコーヒーをたっぷり飲ませて欲しい。
長~い打合せを楽しく過ごすため(笑)美味しいデザートは持ち寄りで・・・
こうして、O川夫妻の「田舎暮らしの家」計画はスタートした。