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おじいちゃんの「田舎暮らしの家」(後編) [ ・おじいちゃんの田舎暮らしの家]


憧れの田舎暮らしで義父は、何を実現しかったのだろう?
義父は、田舎暮らしの家を「普段着の木綿の家」と表現していた。
建築予算は、1100万円。土地取得を入れた総費用は、2100万円。

コンセプトシートには必要と思われる、部屋、床面積、設備が詳細に書かれていた。

■本物の木の家
 ・24坪位の平屋建て。民家風。普段着の木綿の家。
 ・丈夫で手入れ不要の家。風が通る、国産のムク材が基本。バリアフリー。
 ・素材の素地をそのまま表した家。
■主要室
 ・リビング8畳
 ・和室6畳(床の間、押入)
 ・居間8畳(神棚、押入)
 ・キッチン6畳(勝手口、収納庫)
 ・納戸3畳(間口1間以上)
 ・トイレ1坪(手摺、引き戸、棚、地窓)
 ・玄関1坪以上(壁埋め込み収納、腰掛け、花置き台、引き戸)
■内外装仕上げ
 ・日本瓦葺き、良く乾燥した杉板張り、軒天は板張り、小屋裏換気
 ・板張り、漆喰塗り、障子

義父が何を求めているかは、これを見れば手に取るように判る。
終の住まいとして、足腰立たなくなるまで農作業をしながら、自分で育てた安全な野菜で
美味しいお酒を飲んで長閑に暮らしたかったのだろう。
単に、人間らしい生活をしたかったのだと思う。

家族を養うために働き、定年後こそは今までやりたかったことをする!

僕は質問した。
「部屋は3部屋も必要ですか?居間と寝室。もう一つは予備室ですよね?
 こんな辺鄙なところまで足を運んでくれる人なら、かなり親しい人ですよね?」
「そうだね。」
「そんな人が年間何日滞在しますか?一組せいぜい2泊ってところじゃないですか?
 それよりも、主役の自分達の部屋を充実させた方が良くないですか?
 大きな居間と飲んだれくれて寝る部屋があれば良いんじゃないですか?」
「うん。そうかもね。」


こう書くと、プランはとてもスムーズに決まったように思われるかもしれない。

計画地は山の麓で、結構な傾斜地にある(最初、現地を見た時は仰け反った!)
ところが義父は、全然気がついていなかったらしく、
眺めが良い所だなぁくらいにしか思っていなかったそうだ。(ヤレヤレ)

予算で見込まれている造成費用は100万円。
最小の土工事で済む配置計画と、形状を考えなければいけなかった。
(エイヤッ!で決めたので、それ程苦労はしていないけど・・・)

その他、水道本管の径が細く、水圧が確保できないため引き込みを拒否されたが、
不動産屋の重要事項説明違反を楯に訴え、事なきを得た。
(正直、冷や汗が出ました)


昨年、妻と二人の子供達が、夏休みを利用しておじいちゃんの家に滞在した。
海で泳いだり、野菜の収穫をしたりしたそうだが、とても楽しかったらしい。

入居後ほどなく、長女に「(浜自カフェの)新しい家はどう?」と尋ねたところ、
「この家、変!1階のコンクリート床が嫌なの!柱と梁、(漆喰の)壁は良いけど・・・
 おじいちゃんの家が一番好き!木の家が良いの!」 と言われちゃった。

人として、あんたが正しいよ!


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stella

お嬢さんに nice! エライ!
会社で新商品のコンセプトづくりをしているのですが、
おじさんたちは口を揃えて「ふるさとの家」とか「囲炉裏のある家」とかと
言います。
女性より、男性の方がそういう気持ちは強いようですね。
by stella (2006-05-29 23:07) 

浜松自宅カフェ

●stellaさん
 nice!どうもです。
 商圏が判りませんが(埼玉南部?)、都市部で求められているとしたら
 面白い話です。非常に興味深いです。
 昨年、藝大の「吉村順三建築展」を見たのですが、一般の主婦が多かった
 のが驚きでした。「家庭画報」で特集やっていたんですね~。

 確かに、おじさん達にはそういう要求が多いみたいです。
 女性は逆に、生活の利便性を求める傾向が強いですよね。
 家事をどれだけやってきたか?ってことなのかなー?
by 浜松自宅カフェ (2006-05-29 23:44) 

stella

周りのおじさんを見ていると、奥様は子供を通して地域に密着しているけど
お父さんは仕事や単身赴任で地域になじみがない、
したがって、奥様は離れたくないけど、
お父さんはその土地に愛着がない、ということなんだと思うよ。
だから、「行くなら一人で行って頂戴」って言われてしまうのですよ。
男はロマンチストで、女は現実的ってことかなぁ。
by stella (2006-05-30 00:08) 

浜松自宅カフェ

ナルホド!超納得です。男はロマンチストで、女は現実的ってのも良く言われ
る気がします。M尾君ちの奥さんもそんなこと言っていました。
家計をあずかる分、現実的なのかもね?
僕は近所のおじさんと仲良くなるけど、他の夫ってそういう人少ないですね。
by 浜松自宅カフェ (2006-05-30 00:45) 

ゆつき

私コンクリート床でも好きなんですけどw
できれば床がコンクリートで天井が鉄骨や配管むき出しの
生活観ゼロ家やりたかったのですが、嫁に激しく否定されちゃい
ましたw
by ゆつき (2006-05-30 11:00) 

浜松自宅カフェ

●ゆつきさん
 鉄骨のロフト系ではないですが、うちも天竜杉の梁と、配管むき出しです。
 うちの奥さんは、全然理解があったので軽くクリアでした。
by 浜松自宅カフェ (2006-05-30 13:42) 

kankan

写真を見るだけでも、何か懐かしいような、温かい気持ちになります。
by kankan (2006-05-30 21:55) 

浜松自宅カフェ

●kankanさん
 若くてもそうおっしゃっていただける方、割といらっしゃるんですよ!
 コンセプト通り、木綿のように素朴な家なんです。
 「お客さんが帰らない!」と義父が言っていました(笑)

 ちなみにトップの写真の座卓は、「森のアウトレット」で激安でゲットした
 天竜杉を持って行き、大工さんに脚をつけてもらったものです。
by 浜松自宅カフェ (2006-05-30 23:20) 

kyotto

おじょうさん、すごい!発言が具体的。
奥さまよりも、もっとこだわりの女性になりそう?ですね。
小さいときから、いろんな方面の感性のアンテナをもてるって、
何にも変えがたい財産ですものね。将来が楽しみですね~。
by kyotto (2006-05-31 09:19) 

鰯母

初めまして。stellaさんのところからやってまいりました。
木のおうち、温かみがあって素敵ですね。
きっとお義父さまも毎日楽しく過ごされているんでしょうね~。
「普段着の木綿の家」というコンセプトがいいなぁと思いました。
私ももうちょっと年をとったら自分の好きな家を建てたいと思っています。
実は浜松出身なので、ちょっと懐かしい…。
これからも遊びに来させていただきま~す。
by 鰯母 (2006-05-31 18:47) 

浜松自宅カフェ

●romeoさん
 親馬鹿かもしれませんが、発言がリアルでビックリしました。
 なるべく本物に触れさせて、理屈じゃなく感じることができる人間に育てたい
 と思っています。
 美味しいケーキが判るのが恐ろしい・・・です。
●鰯母さん
 こちらこそはじめまして。面白いHNですね?しかも、浜松ご出身とは!
 義父からは後で、「あんたに頼んでよかったよ!」と言われました。
 義父のライフスタイルは、家のコンセプトそのままで、世田谷在住の時から
 ヨガ、区民農園に精を出し、普段着は作務衣です。
 今年の夏は、長女を昨年以上に疎開させようかと思っています。
 今後ともよろしくお願い致します。
by 浜松自宅カフェ (2006-05-31 23:41) 

ijimari

「鉄骨むき出しの家」
でググッたら、浜松自宅カフェ様のブログにありつきました(笑)

娘さんナイスです!!!
by ijimari (2008-04-28 12:03) 

浜松自宅カフェ

●ijimariさん
 ネットって面白いですよね~。
 うちの嫁さんも「天然酵母のパンで検索かけたら、あんたのブログに
 たどり着いたよ。。。」だって(笑)
 改めて、過去ログの長女の笑顔を見て、顔がほころんじゃいましたよ。
by 浜松自宅カフェ (2008-04-28 13:33) 

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