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残暑厳しい天竜の山で現地調査 [ ・公共施設の耐震補強計画]

事前の耐震診断で「耐震補強が必要」と判定された、市民、県民の生活を支える
非常に重要なインフラ施設の耐震補強計画の仕事。

残暑厳しいですが、今回は構造設計担当者と一緒に2ヶ所の施設を調査してきました。

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■濃い緑の天竜の山と夏の青空
中央に伸びる砂利道は施設管理用の道路で、一般の方が立ち入る場所では
ありませんし、そうでなくてあまり人が来ない場所だと思います。
浜松市の中心市街地から1時間もかからない距離にあるものの、知りませんでした。


深く濃い杉桧の天竜美林に夏の終わりの澄んだ青空が美しいと思いました。


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■鉄骨仕口の部材寸法と溶接調査
現在の建物の健全度を確認すると同時に、建設された建物の実際の状況を
現地現物で確認し、保有する耐力を算定します。

保有している耐力が、地震に耐えるための性能を超えるように設計するのが
耐震補強計画です。
公共施設では、設計した耐震補強計画のお墨付きを得るための耐震評定を行い、
その後で耐震改修促進法に基づく認定を得なくてはいけません。


聞きなれない言葉ばかりですが、要はとっても大変な仕事だと言うことで、
設計事務所と言うと華やかな世界をイメージするかもしれませんが仕事の殆どは
地味で目立たない、建築の設計「事務」をする所なので、パソコンに向かって、
ひたすら図面や書類を作成する感じです。



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■RC造の柱の垂直状況を調査
こちらは天竜の山とは逆に浜名湖に近い場所にある施設です。
地味で目立たない施設ですが、地域のインフラを支えるとても重要な役割を担って
いるため、地震に耐えられるように補強をする必要があります。

建物の健全度をチェックするために、デジタル傾斜計で柱や屋根の垂直、水平状況を
チェックするわけですが、レベル測量とは違って便利で手軽になっただけでなく、
精度も飛躍的に向上しました。



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■クレーンの調査
映画「カ●ラを止めるな!」を鑑賞された方は「おやっ?」と思われるかも
しれません。
規模は小さいですがこちらも同じ役割の施設です。

地震でクレーンが落下し、施設の必要な機能を失わないように落下対策をする
ための調査です。


酷暑のピークは過ぎたとは言え、建屋の中は蒸し暑く、汗が噴き出してきます。
脱水症状にならないよう、水分補給をしながら予定通り調査を終えました。

事務所に戻ってもしばらくは何もやる気が起きません・・・(@_@)

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耐震診断のための現地調査 [ ・公共施設の耐震補強計画]

お盆休み前に調査計画を立てて発注者承認を得たため、鉄筋探査屋さんの他、
コンクリートのコア抜き屋さん、足場屋さん、構造事務所のスケジュールを調整し
「いっせーの!」で集まってもらい現場調査を行いました。

全体の指揮を執るのは意匠担当者である僕の仕事ですが、こういう仕事は結構、
性に会っているようです(笑)

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■先ずは足場屋さん
調査対象の施設に立ち入るため、管理者から鍵を預かっておき、
「●月●日に実地調査します!」
とあらかじめ連絡をして許可を得ます。

今回は、一日で3施設の調査を行わなければなりませんから、段取りが
とても重要です。


まずは僕が現地入りし、入口の門扉を開け、建屋の玄関を開けたところで
足場屋さんに調査用足場の位置を指示します。


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■外部足場施工中
足場工事は設営とバラシのスピードと安全性が命ですが、見事な連携プレーで
指定した高さまで一気に組んでくれました。

この現場では、内部足場外部足場を設置してもらいました。

鉄筋探査屋さんや構造事務所さん数人が屋根に上って、鉄筋の入り方を確認
するのですが、手摺りのある足場のお陰でまったく不安なく登る事ができました。



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■屋根スラブの配筋確認
高級車が買える程高額な鉄筋のレーダー探査機を使って、鉄筋ピッチ、被り厚さ、
スラブ厚さを調べてもらいました。

古い施設の場合、図面が残っていない事があり、その場合はこのようにして現物を
調査するしかありません。



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■コンクリートのコア抜き
コンクリートの圧縮強度と中性化の進行を確認するために行いました。
鉄筋を切らないよう、鉄筋探査機を使用して配筋位置を確認してから
コンクリート躯体からサンプルコアを抜き取ります。

「躯体に穴が空けるのですか?」

と質問したところ、「外壁側のモルタルで止めますよ」とのこと。

コンクリートを抜けると手応えが軽くなるため、わかるそうです。
壁厚も調べてありますから、ある程度あたりも付けているようです。



コンクリートのコア抜きの職人さんが乗ってきた自動車が足立ナンバーだった
ため、「足立区からですか?」と聞いたところ、「いえ、墨田区です」との
でしたから、詳しく聞いたところ僕が設計を担当した大横川親水公園のすぐ近く
とのことで、僕が設計を担当した事を伝えるととても喜んでくれました♪


先週は、毎日のように台風が発生したため、予定通りに調査ができるか気が気
ではありませんでしたが、ご覧のようにカラっと晴れて、しかも暑さも一段落
したタイミングでしたから、ここ一番での晴れ男は健在だったようです。

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公共施設の耐震補強計画 [ ・公共施設の耐震補強計画]

7月から某公共施設の耐震補強計画が始まりました。
前年度はコンクリート躯体の「劣化診断」「対策作成」でしたが、今回は
耐震診断でNGと判定された施設を地震に耐えられるよう補強方法を計画します。

いわゆる「基本計画」と言われるものですが、公共事業のため耐震計画の
お墨付きをもらうための「耐震評定」を取り、概算工事費を計算し工事予算を
得るための資料を作成します。

そんな施設が合計4棟もあります。

いずれも規模は小さいのですが、図面がなかったり基礎がわからなかったり
配筋状況もわからない中で進めないといけない仕事でなかなか骨が折れます。

今日は、構造設計を担当してくれる構造設計一級建築士2名と現場で予備調査。

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■予備調査中
この建物は構造的にかなり変わった設計をしていて、ベテランの構造技術者が

「なんでこんな風になってんだ?」

と首を傾げるほど。

しかも、キチンとした図面が残っていないため、現況を調べるところから仕事が
始まります。


例えばこの施設は昭和49年完成ですから、建築後44年が経過しています。
図面はCADじゃないため、A1サイズの青焼きですが保管に嵩張るため処分されて
しまったのでしょう。

当時は高度経済成長期ですから、作る事しか意識が無かったのかもしれません。
ライフサイクルコストの概念が出てきたのは、バブル経済が終焉した後だと
思います。


今後もこう言う仕事が出てくると思いますが、設計業務だけでなく予算の引出し方
も面倒になってきていますから、発注者側もなかなか大変そうです。

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