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商品プロデュースの仕事 [ ・プロデュースの仕事]

前回記事のバトンの回答で問われた、商品プロデュースと言う仕事について
少し触れてみようと思う。

今、メインで担当しているのが某メーカーさんの商品プロデュースです。
1年半程前、そのメーカーの商品企画部門から、新期事業の商品プロデュースの
話をいただいた。


その際、クライアントである企業の経営トップから、

 

「ある特殊な技術があるのだけど、それを住宅で使えるものにして欲しい」

 

と言う依頼を受けた。



かなり後になって聞いた話ですが、新規事業ってのはなかなか成功
しないため、一つの可能性として「当たればよし!」くらいの気持ちだった
ようです。
それはそれで、期待を込めて任せてくれたことに感謝しています。

 

しかし、、、メーカーにおける新製品のプロデュース経験などしたこと
ないし、突飛な技術だったので、成功させる自信なんかまったくなかったし、
もちろん今でもないです。

けど、敢えて製品化するとしたらどういうものにするかと言うイメージは
できていました。


いずれにしても、

「セオリーに従って愚直に進めるしか方法はないだろう?」


と考えて、市場の状況を調べたり、ユーザー層を知ることに時間を割いた。

 

 

先々週、途中経過を経営陣に報告し、プレゼンを終わろうとしたその時、営業
部門のトップが僕に向かってボソッと一言。

 

「売れるよ!これは!」

 

根拠はあえて聞かなかったけど、正直、メチャクチャ嬉しかったですよ。

その営業部門のトップは、社長の信頼も厚く何より営業現場を良く知って
いる人だからだ。

国内の成熟市場において、競争が厳しいのはどこの業界も同じで、売れると
断言できるような商品はなかなか存在しない。
どの商品も差別化が難しく、明確な違いが見出せない。

そんな中での営業トップの一言だったからだ。

 

そのメーカーさんの収益の柱は他の製品群で、またまったく異なるジャンルの
製品であり、ユーザーニーズが顕在化していないため、僕らの取り組みに対し、
周囲の人間は斜めに見ている感が否めなかった(今でもそうだけど)

 

そういう人達の中で、発してくれた言葉だった。
一番最初の報告は、開発部門の管理職向けに報告させていただいたのだけど、
「あれがない!これがない!」と散々だった。
(確信があったので、気にしていないですけどね)

 

実は、開発部門のトップは僕の仕事の進め方には不信感があるようで、
説明の仕方を誤ると了承を得るのが非常に難しくなる。
今回の報告に対する事前打ち合わせでも、手厳しい言葉をいただいていた。

その手厳しい言葉と言うのは、モノ作りが中々進展していかないことへの
苛立ちによるものだった。
メーカーにとっての生命線は、モノそのものであるからそれは理解しているし、
正直、遅いと言われたことに対して、反論はできない。

 

ただ、僕の中に確固としてあったのは、

 

「その存在意義であり、市場においてそれをどう位置付けるかを明確に
 しなければ、幾ら試作を重ねても無駄打ちに終わる」

 

だったので、貴重な開発費を有効に使うため、意思決定の部分に十分時間を
かけた形になってしまった。

まっ、それはそれとして、

「うちはやはりメーカーなのでモノ作りを急いで欲しい」

と言うクライアントの立場も当然のことだと理解できるし、基本的な考え方は
ほぼ固まっていたので一次試作を開始することにした。
(偉そうに思えるかもしれませんが、結果叱られるのは僕ですからね・・・。)
この試作は、最初に述べた特殊な技術を使ったものではなく、先行して
発売する製品の反応を検証することが目的。

 

材料を手配し、設計スタッフのAさんと打合せした際、
「これ、どう思いますか?」って聞いたところ、

 

「そりゃ良いよ!
 だって、○○だもん。俺が欲しいくらい!色が良いし、風合いも!」

 

と言う嬉しいコメントをいただいた。
その道の専門家のようなAさんから、そんな嬉しい感想をいただき良かったです。

 

開発者自身が欲しいと思えるものをまず作り、それを元に次のステップを
考えようと思っています。
これからも色々な障壁が予想されるけど、考えても判らないし、まっ良いや~


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素晴らしいですね!
新製品のプロデュースなんて、滅多にある話ではないですから、納得のいくものを極めて納得のいく製品を作ってください。
市場に出て、雑誌などで取り上げられることを心待ちにしております。
by (2007-05-19 21:38) 

浜松自宅カフェ

●eddieさん
 今回の記事は、ちょっと愚痴が入っていましてお恥ずかしい限りです。
 製品開発ってのは、建築と違い何かと厄介です。
 消費者だけを見れば良いのではなく、経営はもちろん開発部門、購買部門、
 品質保証部門、カタログ、ショールーム、営業部門、流通等・・・
 これらの部門それぞれに独自のルールがあるんですよね。
 ですけど、雑誌で取り上げられるようになるよう、頑張ってみます。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-20 00:02) 

楽しそうな仕事ですね^^
製品化の折には 是非お知らせください^^要チェック^^

ローマ字でしゃべります→sisakuhinnkudasai^^ (爆)
by (2007-05-20 14:42) 

浜松自宅カフェ

●dennさん
 んー、想定ユーザー層はかなり限られた人になると思います。
 dennさんは、、、どうかなー?価値と感じてもらえるかどうか?
 今度、メールでアンケートしてみましょうかね?

 そうですね~、楽しいと言えば楽しい仕事ですよ^^v
 世の中にないものを作るんですからね。
 でも、それは言い替えれば 『誰も知らない』って意味です。
 使い方や価値を知っている人が極めて少ないものなんです。
 製品化の暁には・・・。ちょっとこそばゆいものがありますね(笑)
 建築と違って、企業ありきですからね。
 僕としては、誰かがブログで紹介しているのを見付けたら嬉しいかも?
by 浜松自宅カフェ (2007-05-20 23:46) 

そうですね^^ご自身の培った知識や技術が製品として結実し^^さらに世に認められていく^^ そうなったら楽しいでしょうね~^^

限定されたニーズ? なんだろ^^
家の中?外?? 興味しんしん^^
by (2007-05-21 05:36) 

gottu329

浜松自宅カフェさんのプロデュース能力はすばらしいですね。。。
そういう能力が僕にもあったら良かったのにな・・・
どんな仕事でも、褒めてもらえると、やっぱり嬉しいですし、やりがいにも
つながりますよね。
by gottu329 (2007-05-21 08:41) 

plusgate

何事もコンセプトが大事ですから、浜自カフェさんの手法が正しいのかなって思います。実は、ぼくも今新商品を手伝っているんですが、先方は一日もはやくカタチにしたいみたいなので、ちょっと困ってました。でも、まあゆっくりやろうと思います。
by plusgate (2007-05-21 10:49) 

浜松自宅カフェ

●dennさん
 住宅は、ある特定のお客さん。プロダクトは、想定したユーザーなので
 その想定と製品がバッチリマッチして、
  評価を受ける=購入いただける  と嬉しいですよ。

 利用場所はもちろん屋内なんですけど、そういう要求を持っている人は
 今のところ極めて少ないんですよ。だから、難しいんです。
 dennさんなら意図は理解していただけると思いますけど、「欲しい!」と
 思ってくれるのか?僕も興味シンシンだったりして(笑)

●hgchさん
 あ、いえ、まだ製品化が決定したわけじゃないし、発売が決まったわけ
 じゃないですから、買いかぶらないで下さいね。
 それでも、評価してもらえるのは嬉しいわけで、今回はそのご報告です。

●plusgateさん
 おっ、plusgateさんもですか?まさか同じ企業じゃないでしょうね?(笑)

 カタチにしたいのは良く判るんですけど、コンセプトが固まっていないと
 フラフラしちゃいますからね。
 おっしゃるように僕ものんびりと急いでいます。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-21 21:00) 

hidenosuke

組織の中での商品開発は、多方面においての調整が難儀ですね。
経営サイドは、期限切ってきますし(まぁ、営利追求ですから仕方ありませんが)
私も、日頃「あーしたい」「こーできたら」っていろいろ思うんですけど、どうも脳みそのシワが足りないようで、何も実現しません(^^;
by hidenosuke (2007-05-22 16:51) 

アキラ

この『商品』が姿を現すのを、今から楽しみにしています。
by アキラ (2007-05-22 19:18) 

浜松自宅カフェ

●hidenosukeさん
 そうなんです!それぞれの思惑が交錯する組織における商品開発の
 難しさを痛感しています。コンセプト一発で通らない!(笑)
 ビジョンを立てたり、市場規模を想定したり・・・。色々とトライしています。
 メーカーの仕事は事業規模も大きいので、当たり前なんですけどね。
 ただ、ヒントは現場に隠れていると思っているので、素直な目で見て、
 話を聞いて取り入れるようにしています。

●アキラさん
 あんまりプレッシャーかけないで下さいね~(笑)
 恐らく、発売されてもある程度は数字が出るとかの評価が出なければ、
 恥ずかしくてご紹介することはできませんから。
 「実はこれが私の初プロデュース製品です!」と言えるように頑張りますよ。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-22 22:25) 

JOHN

珍しく愚痴が出ているみたいですが、
それ以上に楽しそうな雰囲気が伝わってきます!
お客様に一番近い営業部門から「売れる」と
太鼓判を押されているのですから売れますよ。
営業成績は多少なりとも商品力に影響されますから。
実際、「売れるもん作ってよー」と思うことも多いんで(笑)
すごいなー。どんなものになるのでしょう。楽しみですね^^
by JOHN (2007-05-23 03:33) 

浜松自宅カフェ

●JOHNさん
 僕は基本的にネアカのポジティブ思考ですけど、愚痴も割りとあります。
 遠回りになろうが、進歩が遅かろうがユーザーにとって「大事」だと思う
 ことを地道に確実に行なうことだと思っています。
 色々と言われながらも、続けてきたことを評価していただけたと思って、
 自分の励みにしているだけです。

 どちらかと言うと、男性向けの製品なのでJOHNさんが見ても、
 興味湧かないかもよ?(笑)
 さー、金曜日朝には塗装前の試作品が見れます!う~、ドキドキ。。。
by 浜松自宅カフェ (2007-05-23 18:58) 

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