道徳なき経済は『罪悪』 [ ・プロデュースの仕事]
道徳なき経済は『罪悪』、経済なき道徳は『寝言』
二宮尊徳が説き広めた報徳思想では、経済と道徳の融和を訴え、私利私欲のために
商売を行なうのではなく、社会のためになることをすればいずれ自らに還元される
と説いています。
この言葉をいつ知ったのかは覚えていませんが、座右の銘の一つとしていつも
心に留め、物事を考える際の基準にしています。
今回、なぜこのテーマにしたかと言うと、本業の商品プロデュースを通して
企業経営者と話をする機会が多いのですが、視点が利益の追求でしかない経営者が
あまりに多いからです。
企業である以上、社員を雇用して売上げを作り、株主に対して利益を配分する義務
があるのは良くわかりますし当然のことです。
ですが、お客様へどのような価値を提供するかの議論なしに、売上げや利益を
論じることの無意味さに気付かないことが不思議でなりません。
言葉では「顧客価値が大事」と言っても、本質的に理解しているとは思えない
のです。
なぜそう思うかと言うと、サービスのディティールを考える際、事業コンセプト
と外れるような意見が当然のように出るからです。
そのため、「えっ、それって変ですよね?」と言っても、
「○○を××にしたらコストが上がって買ってもらえないだろう!」
といった教科書的な返事が帰ってくるのです。
これは、お客様目線ではなく、自分目線であり、元々その商品に価値を見出して
いない人に多い発言だと思います。
彼らと話していて思うのは、年間売上げが数億から数百億の事業規模になると、
会議室での議論が中心となり、机上に置かれた決算報告書や企画書に基づく判断
であり、千万円単位での判断が求められるからではないか?と言うこと。
一方、ひなたCAFEをリアルに運営する自分は、お客様と数百円単位の真剣な
やりとりをしているわけで、その視点で話をしてもまったく噛み合いません。
当然と言えば当然ですが、億を超える売上げもすべて1円の積み重ねで出来ている
わけですから、経営者は蟻の目と鷹の目を使い分ける必要があると思うのです。
僕らはひなたCAFEを作るにあたり、店の存在意義を考える際、
どういうお客様にどのような価値が提供できるかを、最初に嫁さんと話し合い
ました。
そして、僕らがやりたいことの軸線上にあることを選び、できることからやって
いこうと決めました。
当然、予算計画の段階で売上げや利益の試算をしましたが、上限と下限を知り
大幅にずれていないかを確認するためにした程度です。
(これは第三回建築基礎講座を受講された方にはお話しましたよね?)
ここで考えたのは計画を大幅に下回れば、早々に店を閉める決断をし、大幅に
上回ればスタッフが増え、支店ができるだろうと言うこと。
万が一もないと思いますが、ひなたカフェが数百億の事業規模になった
としても、冒頭の報徳思想を拠り所に執行していきたいと思っていますし、
もし経営を引き継ぐ者がいたらキチンと教えていきたいと思います(笑)
これは難しい大命題ですね。
会社をやっているとまず考えねばならないのが、会社の存続・雇用の確保であり、次に共に汗を流している仲間達により良い待遇を確保したいと言うことだと思います。
これらが満足できない限りに於いてはリスクを選択することは出来ず、自然保守的な選択をせざるを得ません。
余力のあるときであればリスクを承知で勝負できますが、今のように経済活動が落ちている時期では小さなキズでもなかなか埋めることは難しく、従来の製品や発送の延長上でなければなかなか踏み出すことは難しいです。(だから景気の良いときには、面白い製品も多く出てくるのですよね)
多くの経営者は自らの会社の強み弱みについて当然熟知しているわけで、新しい製品やサービスの提案があった場合にも上手く行った場合の可能性についても認識しているはずです。
ただ組織としての会社の中での経営者の役割と言うことを真剣に考えれば考えるほど、リスクヘッジ側からの発想をどうしても持たざるを得ず、切れ味が鈍る要因になっているのではないかと感じました。
「道徳無くして会社の永続はおぼつかないが、道徳だけでは会社は保たない」
「明日、明後日の清々しい空気を吸うためには、今日を生き延びねばならない」と言うことではないか?と考えています。
PS.
私見ですが「顧客第一主義」とか「企業モラル」なる言葉は建て前で、経営者の第一の仕事はその建て前をどうどうと言える状況・実行できる状況を作り出すことだと感じています。
何故ならばそれが実行できなければ、今日を生き延びることは出来ても企業の永続はおぼつきませんから。
by たいせい (2009-11-04 13:25)
楽して利益を上げたいのも人情ですが^^それじゃあ企業は成り立たないですよね^^
by denn (2009-11-04 20:40)
●JOHNさん、kuniさん
nice、ありがとうございます。
●たいせいさん
僕は難しいことではないと思っています。
言いたかったのは、「企業を儲けさせるためにお客様がお金を払うのでは
無い」と言う一点で、今ある設備や組織がどうこうではなく、企業の存在
意義だけです。
これを考えずに幾ら架空の計算をしても無意味であることはハッキリと
わかりました。
●カフェオランジュさん、ムクさん
nice、ありがとうございます。
●dennさん
楽して儲かればそれに越したことはないですけどね(笑)
その分を他に振り向けることができますから。
まっ、そうは行かないですから頑張るしかないと思っています。
by 浜松自宅カフェ (2009-11-05 00:10)
常にクライアント(客)目線で、自分のできる範囲内で
仕事(商売)をしていますが、
これで生活できていなかったら、僕も早々に閉店でしょうね。
なぜか、生活できているというのはありがたく思うところでもあり、
独立後は、こういう先人の言葉の偉大さを感じるところです。
by plusgate (2009-11-05 12:09)
●plusgateさん
> 常にクライアント(客)目線で、自分のできる範囲内で
> 仕事(商売)をしていますが、
plusさんを見ていて、話をしているとそのような思いで仕事をされているのが
良く判ります。
いつも思うのですが、それが本来の商売なわけですから、
それで成り立たないわけがないと思うのです。
そんな思いがあって、僕もひなたCAFEを始めたわけでこれからお客様に
試されんですよね。
頑張りましょう!
by 浜松自宅カフェ (2009-11-06 10:56)
●eddieさん
nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2009-11-09 22:46)