大きく2つに分かれる建築主のタイプ [ ・浜自カフェBLOGについて]
前回、浜自カフェBlogはこれから家づくりを考えている人の中でも3~5%の読者に
向けて記事を書いていると言う話をしました。
これは、どんな製品、サービスであれ、すべての人に満足を提供することは不可能だと
いうことから、自社が提供できる品質や量のサービスに見合ったお客様を決め、そのお客様に
最大の満足を提供しようという考え方です。
例えば、マクドナルドがありますよね。
誰でも知っていて、皆が好きでとても愛されているハンバーガー屋さんのマックです。
もちろん、僕も時々利用させていただいています。
ですけど、絶対行かない人っていますよね?
例えばうちの両親などはマクドナルドがハンバーガー屋だと知っていても、行ったことありませんし、
そもそもハンバーガー屋さんに行くことがありません。
同じように、成城石井と言うスーパーマーケットがあります。
高級食材を扱うことで有名なスーパーマーケットですが、こちらは知らない人も多いかもしれません。
元々は世田谷区成城学園駅前にあるスーパーマーケットですが、現在はFC展開をしていて、
浜松駅地下にも出店しています。
スーパーマーケットは生鮮食品や飲料、お惣菜などの日常品を出来る限り安く提供することが
最大の価値の業態ではありますが、それでは満足できないお客様もいるわけで、
そのような方のために多少値は張るけれども、他のスーパーでは扱っていないような品物が
並んでいます。
実は、住宅を購入する場合でも同じことが言えますよ。
完成したマンションや建売住宅を見てから購入を決める人は当然として、
これからプランを作って建てる注文住宅でも明確に2種類のタイプに分かれます。
誤解を恐れずに言うと、家を建てる人、家を買う人と言っていますが、これらは差別して
言っているわけではありません。
何が言いたいかと言うと、自分はどちらのタイプなのかを知っておくと、住宅を取得する際に
無理が少ないと言うことなんです。
なぜなら、どの産業もお客様の購入の仕方に合わせて販売方法を最適化しているわけで、
住宅産業もこの2種類のお客様の特性に合わせて販売方法を適合させたビジネスを
展開しているからです。
ここまで言えば何となくはピンとくると思いますが、家を建てる人が住宅取得者の中の3~5%で、
それ以外の97~95%の方が家を買う人という意味です。
もちろんこれは、経験によるところであり何の根拠もありませんが、「1割はいないよね?」
と言うところで意見が一致しています。
この二人は根本的に消費の価値観が異なるため、所有しているモノから判る場合もありますし、
会話やメールのやりとりではかなりの精度で見分けが出来ます。
では、この二人の違いは何かというと・・・
家を買う人の特徴は、選択肢の中から選んで決めると言うこと。
例えば、「フローリングはこの中から、外壁はこの種類から、この色の中なら追加料金はなしで、
この種類だとオプション料金が必要になります。」と言う感じ。
「えっ、それって普通じゃん?何が違うの?」
って思いますよね。
一方、家を建てる人の場合、100種類あっても1万種類から選べたとしても、気に入ったものが
なければ絶対決めません。
場合によっては、イメージに合うものが出来るまで待つか、入手しうる材料を組み合わせて
作ってしまいます。
家を建てる人と言うのは、絶対的に自分が目指すものがあって、それに向けて限られた予算と
期日でどこまで近づけることが出来るかを、恐ろしいほどのエネルギーと時間、手間を割いて
実現しようとする人です。
(これはかなり極端な例ですが、実際は中間領域のタイプもいます)
このタイプは正直、メチャクチャ手間がかかりますから、なるべく効率的に家を販売しようとする
企業にとってはやっかいな施主ですし、逆に工業化住宅を販売するハウスメーカーの営業マンに
要望を突き付けても担当営業マンの裁量でどうこうなるものではありませんから、
時間とエネルギーの無駄というものです。
工業化住宅や商品化住宅は、完成品を予め確認できることと、一定以上の品質で住宅を
供給できることが最大の特徴ですから、まだ見ぬ家を作ることに不安が勝る方には最良な
建築システムだと思います。
一方、世界に一つだけの自分だけの空間を作りたい方には、こういった住宅生産方式では
かなり難しいですから、 建築設計事務所を起用した建築方式が最も近道だと言えます。
そろそろまとめに入りますが、家を買う人に向けたブログであれば、コストパフォーマンスが
高い商品シリーズの選び方だとか、安く家を手に入れるための交渉術。
選んではいけない建築材料とか、最高の断熱性能だったら外張り断熱、という記事にするでしょう。
ですが、こういう記事だったら上手に書かれている方がいますし、第一僕の得意分野ではありません。
一方、浜自カフェBlogでは、こういう考え方もありますよ~♪とか、こんなことやってみました!
的なおよそ量産化できないようなことばかりですよね?
それとか、ベースワイさんによる、コンクリート基礎の記事は根強い人気なのですが、
これは元々、
「コンクリートと言うのはセメントが水と化学反応を起こし、ガラス質の結晶を
作る際に周囲の砂利や砂を取り込んで大きな結晶体を作ることだから、コンクリートを
乾かしたら駄目だよ!」
と言うことを知ってもらいたくて書いた記事でしたけど、建築業者でさえあまり知られていない
この事実を言ったところで取り合ってもらえないのが実情だと理解しました。
となれば、まだ自分がどちらのタイプか判らない人や意識を変えて家を建てる人になろうと
する人に向けて「家は思い通りに建てた方が絶対楽しいよ」と言う情報を発信していこうと
決めたわけです。
自分のサービスキャパ的にもそれが限界だし、僕の得意とするところが活かせるのも
そういう方だし、第一楽しい現場になりそうだし。
(実際、かなり楽しいですよ~♪)
自分では今までそういう意識は無かったのですが、この記事を読んで自分がバリバリの『家を建てる』人だったのだと気がつきました。気がつくの遅すぎ?
by しゃくとりむし (2010-02-11 20:48)
●カフェオランジュさん
nice、ありがとうございます。
●しゃくとりむしさん
気づくの遅すぎッス(笑)
でも、意外に自分がどちらのタイプか知らない人が多いことに気づいた
ものですから、思い切って記事にしてみました。
これ書いている時にまず思い出したのがしゃくとりむしさんでしたよ。
それと僕がプロデュースさせていただいたクライアントの方々も。
住宅のセルフビルドなんて思いついてもまず普通はやりませんから(笑)
by 浜松自宅カフェ (2010-02-12 00:03)
●ムクさん
nice、ありがとうございます。
思ったとおり、この記事は人気ないですね~。
わかっていたけど。
ホンの一握りの人でもこの記事の本質を理解してもらえたら幸いです。
by 浜松自宅カフェ (2010-02-14 01:59)
うちは、買う人と建てる人の中間かなと思います。
大手ハウスメーカーに注文したけれど、
こだわりたいところは私たちなりに一生懸命、
設計士さんと打ち合わせを重ね、大満足の家となりました。
by さちこ (2010-02-15 11:17)
●kuniさん
nice、ありがとうございます。
●さちこさん
最初は僕もさちこさんに対してはそう思っていましたけど、
きっとさちこさんは『建てる人』だと思います。
さちこさん達が実現したいことがあり、建築における物理的な手段
としてハウスメーカーを選択されたわけですよね。
ビジョンがきちんと見えていて、コンセプトを曲げずにぶれずにいたから
大満足の家になったのでしょう。
そう思ったのは、このブログの過去ログをお読みになり、
niceをつけてもなお、建てたお住まいが大満足だと言われたからです。
何も調べず、考えず、判断せずに他者の言われるままに家を持った人が
対極側の人(=家を買う人)ですが、そういう方の場合は後悔(或いは
一部の後悔)されることも多いと思います。
さちこさんのお住まい、とても興味が出てきましたよ。
是非、拝見したいですね♪
by 浜松自宅カフェ (2010-02-15 13:30)
『建てる人』でなおかつ、設計事務所に依頼される方のほとんどは、
自分の要望を明確に具現化してくれる人を探しているんでしょうね。
あ~、また自分へのプレッシャーが・・・(笑)
by plusgate (2010-02-15 23:24)
●plusgateさん
> 自分の要望を具現化してくれる人
そうだと思います。
大体、僕が相談を受けるのは
「希望する家を建ててくれる住宅会社がないんです!」
と言ってくる方が多いですから。
聞いてみるとそれ程無理難題を言っているわけではないのですが、
住宅会社の中の制約でできないケースが多いような気がします。
こういう記事を書いておいて何ですが、僕もプレッシャーを感じます(笑)
by 浜松自宅カフェ (2010-02-16 13:07)
業種は違えど、納得できる話です。
どっちがいいってわけじゃないんですよね。
ワタシは「披露宴を買う人」に向けての
職場にいるので、「披露宴を創る人」には
正直「うちに来ても無理だよ」と思ってました。
やっぱり制約がありますから。
そういうお客様にどこまで満足してもらえるかは
ほんとに自信なかったですねぇ…
でも、それは口がさけても言えないのです(笑)
by JOHN (2010-02-17 08:04)
●JOHNさん
素晴らしい事例をありがとうございます!
> 正直「うちに来ても無理だよ」と思っていました。
> でも、それは口がさけても言えないのです
そうですよね!
そういう自分の力量では何ともならない担当者の心情を理解できれば、
早々に見切りをつけることも可能だと思うのです。
もっとも僕だったらそれがわかった時点で他を薦めちゃいますけど(笑)
悔しいと言えば悔しいですけどね・・・。
by 浜松自宅カフェ (2010-02-18 00:11)