【追記あり】築20年のマンション・リノベーション事例 [ ・家づくり勉強会]
昨年6月28日（土）に開催した第３回建築基礎講座「予算計画の立て方と進め方」を受講
いただいた浜松市在住のMさんご夫妻と長女（当時9ヶ月）の事例紹介。
その後、Mさんご夫妻から「中古マンションをリノベーションすることに決めました！」と報告の
メールをいただいたのですが、その後どうなったのかとーーーても気になっていました。
と言うのも、セミナー終了後に少し雑談をしただけでしたがその時の言葉やメール文章から
Mさんが戦略思考の持ち主だと言うことが想像できたからです。
（戦略思考については、また改めて僕の考えを述べますね～）
一方、Mさんと同じ時期に建築基礎講座を受講されたNさんから増築案件の依頼を受けて
いることもあり、改めてストック（既存住宅）の活かし方についてを考えていたところだったため、
思い切ってMさんに取材の申し入れをしたところ、快く受け入れて下さいました♪
■築20年のマンションをリノベーションしたMさん邸のLDK
昨年秋頃から設計に入り、40日の工期を経て今年２月に完成し入居されたとのこと。
めちゃめちゃイケていると思いませんか？
正直、期待通り、いや・・・、期待以上の出来でした。
■玄関からLDK越しに北側のバルコニーを望む
築20年、60㎡のマンションリノベーションですが、総事業費は幾らだと思いますか？
と言っても、許可をいただいていないので公表できませんが、僕の超個人的な価値観で
恐縮ですがこの立地、このマンションのコンクリート躯体の状況なら、
「あと500万円上乗せされたとしても購入したい！」
と感じました。
LDKの可動式ラックに無造作に置かれた、奥様の趣味で集めたと言う骨董品も良い感じで
部屋のインテリアとして溶け込んでいました。
無機質な金属とコンクリート、そして木材を上手く配置して絶妙なコントラストでバランスしています。
ひなたCAFEのキッチンも、コンクリート打放しの壁面と木製吊戸の意匠を合わせて、
僕自身とても気に入っているのですが、Mさんはそこもキッチリと採り入れてくれていました。
■特注で製作したLDKの照明を制御するトグルスイッチ
キッチンの内装壁仕上げにはラーチの合板を採用。
ご両親は、「予算が足りなかったのね～（涙）」と言われたそうです（笑）
目透かしのディティール部分にも、工務店さんからの提案でさり気なく、けれどキラッと光る
納まりが施されていました。
■業務用SUS（ステンレス）パイプ棚と梁下のキッチン用コンセント
インテリアだけでなく使い勝手にも妥協がありません。
■玄関の一角に設けられたご主人の書斎
ここまでできれば男性には垂涎の空間でしょうね～！
僕も欲しい！
壁クロスの撤去工事やフローリングのオイル塗装を施主自ら行なっただけでなく、
安価な材料と塗装色の選定でローコストながらとてもバランスが取れた配分に抜群の
センスを感じます！
一通り拝見したところで、僕からMさんご夫妻に幾つか質問をさせていただきました。
私「最初は戸建て住宅を希望されていましたよね？
それが何故、マンションのリノベーションになったのですか？」
Mさん「一言で言えば、今したい暮らしを優先したと言うことです。
仕事がどうなるかわからない世の中の状況や、異動が多い妻の仕事などを考えると
土地に固定される戸建ての意味合いを失っていました。
つまり、何故その土地なのか？と言う問いに自分達が答えられなかったのです。」
私「ナルホド！それはとても良く判ります。
僕自身も土地を決める際には自問自答しましたから」
Mさん「それであれば子供が小さい期間は利便性を優先し、10年後に再度考えれば良い！
悪く言えば、結論を先延ばししたわけです（笑）」
私「そこには正解はないですよね。
ところで、その結論に至ったプロセスは何ですか？」
Mさん「一つ目が、ひなたCAFEさんの建築基礎講座で資金計画を学んだ事。
二つ目は、住宅インテリア雑誌のLIVESでマンションのリノベーションを知った事。
そして、その中にあった『今したい暮らしを優先して、この家を買いました』と言う
ワンフレーズで価値観に変化が生まれ、
三つ目に、私達と相性が良さそうだと感じた建築家さんと出会ったことです！」
私「えっ？今回まさにお聞きしたかったことですが、それは僕が開催した建築基礎講座が
お役に立ったということですか？」
Mさん「ええ！とても参考になりました。
あれがターニングポイントになったと言っても過言じゃありません。
予算計画の話を聞くまでは大雑把にしか考えてなく、建築の坪単価とか見て、
『建てられるよねー？』くらいにしか考えてなかったのです。
それで、細かく予算を検討し直しました。
その結果、建てられないこともなかったのですが、最初に申し上げたように今の状況と
10年後のことを考えて結論を導きだしました。
だけど、、、決断したら後は早かったですよ！
ねっ？（奥様へ向かって）」
私「それは嬉しいですね。
改めてお話して良かったと思います。
それと、そうなんですよね！
決断をすると決める要素が減るから絞込みがし易くなります。
僕も土地を決めたところで、大分楽になりましたから（笑）」
モノづくりが好きだとおっしゃるMさんのご主人。
僕がいつも言っている、思い通りの家作りを実現できた数少ない方ですが、
実はこういう成功体験（思った通りの結果を得られたこと）を得ると、関わった人間は
とても大きな自信と勇気を持つことが出来ます。
男性の場合は特に顕著で、仕事の成果にも結びつき易く出世や報酬増につながることが
期待できます（経験的にですが・・・）。
一方で、思いを実現することができなかった男性の場合、自信を失うことが多く、
仕事で思い切った発言をすることが少ないように感じます。
（女性の場合でも多かれ少なかれあると思いますが男性の方が差が大きい様に感じます）
あくまで家作りの現場に携わった経験からの意見ですが、家作りに成功しているのは
夫の要望をできるだけ実現しようと言う妻側の配慮がある家庭のような気がします。
そして、そのような夫は仕事でもいかんなく能力を発揮し、成果を出していると思うのですが
果たしてこれは言い過ぎでしょうか？
（う～ん、こんな方向に話が発展するとは想像していませんでした。。。）
-------------- 5/28 00:20 追記 -----------------
ブログを読んでくれたMさんがリノベーション前の画像を送ってくれました。
■リノベーション前の状況
築20年のマンションと言えば、まー通常はこんな感じですよね？
ですが、Mさんには完成形のイメージが見えていたのでしょう。
そうでなければいくら安くても購入する気にはなれなかったはず。
Mさんのビジョンを実現するために、要望を否定しないで共有して実現に導いてくれた
建築家との出会いがあったればこその結果ですね。
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今度は取材する側なんですね＾＾
数枚の写真だけで、
Ｍさんのこだわりがとても感じられます。
トグルスイッチ。いいな～
＞家作りに成功しているのは夫の要望をできるだけ実現しようと言う
妻側の配慮がある家庭のような気がします。
わかります！
家のことについて、ご主人が楽しそうに話をしているときの
奥様の表情は我が子を見守るような空気を持っているように思います。
そんな家族は仲も良く、今も仲良く暮らしてらっしゃいます。
by plusgate (2010-05-26 22:34)
●Ｋｏｊｉさん、カフェオランジュさん
nice、ありがとうございます。
●plusgateさん
自分に無い場合は人から学ぶしかありませんからね。
（先日、お話したとおりですよ）
実際は、記事に書ききれないほどたくさんのことを学ぶことができました。
やはり、、、
「事件は会議室で起きているんじゃない！現場で起きているんだ！」
ですよ（by 青島刑事）
トグルスイッチに憧れる方も多いですよね。
確かにプッシュ・プッシュスイッチは便利ですけど味気ないと言えば
どこか味気ない。
なんかアナログ的なわかりやすさがウケるのでしょう！
家作りって結局のところ、夫婦協同の合意に基づくものじゃないですか？
一見、夫のわがままと思えることを奥さんが汲んで
「これは主人がどうしてもやりたいと言っているので、何とか取り込んで
あげてもらえませんか？」ってお願いされたら「そりゃ何とかしたい！」
って思いますよね。
『家』ってのは家族の幸せの入れ物だと思いますから、その先に家族が
幸せそうに暮らしている姿が見えるのであれば、断る理由は
見当たらないですよね～。
by 浜松自宅カフェ (2010-05-26 23:49)
めちゃめちゃ、イケてます(^^)v
素敵～♪
わかります、おっしやること。
だけど、ウチは反対かもしれません・・・立場が^_^;
数年前から、逆転したような、、。
by ムク (2010-05-26 23:57)
●ムクさん
コメントありがとうございます。
現物はもっと素敵ですよ～♪
Mさんには、「LiVESさんに感謝の意をこめて報告をしたら如何ですか？」
と提案しました。
十分、記事になる要素を持っていましたから、「駄目元で試してみたら」
と煽っちゃいましたが、僕はイケると思うんですよね！
ムクさんところは喧嘩しても、夫婦漫才やっていても、逆転していたとしても
ちゃんとご主人を立てているじゃないですか！
少なくともブログでは（笑）
by 浜松自宅カフェ (2010-05-27 00:16)