能登半島地震による圧死者が少ない理由 [ ・耐震強度、地震対策]
日経BPによる「日経アーキテクチュア」の記事をチェックしていたら、能登半島地震被害
について、こんな興味深い報告がされていたのでご紹介致します。
ちょっと専門的な説明になってしまいますが、イメージは伝わるのではないでしょうか?
■伝統構法の土壁住宅がゆっくり壊れたため、逃げる暇を与えた
能登半島地震の被災住宅では、土塗り壁や太い柱、梁が住人の死傷を防ぐことに
つながった。
土木学会が3月29日に開催した能登半島地震災害緊急調査団速報会で、
金沢大学の宮島昌克教授はこのように指摘した。
【ご参考】http://www.jsce.or.jp/report/42/news3.shtml
■全壊家屋525棟、半壊774棟、一部損壊6414棟
総務省消防庁と石川県は、能登半島地震の住宅被害が、4月9日午前10時の時点で
全壊525棟、半壊774棟、一部損壊6414棟となったと発表。
全壊住宅の棟数は、地震翌日の70棟弱から約8倍に増えた。
■資産保全よりも人命
伝統的な土塗り壁は、耐震強度が高いとはいえないが、同教授によると地震時は
振動エネルギーを吸収しながら、粘り強くゆっくりと壊れ、住人に逃げる暇を与える。
住宅が倒壊した場合でも太い柱、梁が屋内にすき間をつくり、避難を助けたとみている。
■地盤の良し悪しが建物の被害に影響を与えた
宮島教授は、年代や構造が似通っている住宅が、場所によって無事だったり
壊れていたりしているのを被災地で目の当たりにした。
「地盤の良しあしが建物の被害に与えた影響は大きそうだ」と語っている。
以上、日経アーキテクチュアさんからの記事の紹介です。
■阪神大震災で、倒壊により亡くなった人は5,300人
この理由は、2006年6月28日の記事で書いたとおりです。
(ネタ元は、元東大教授(現、慶応大)の坂本先生)
昭和55年以前の在来構法の場合、地震耐力が低い上、柱の引き抜きへの対策が
なされていなかったため、許容を超えた地震力が加わると一気に倒壊してしまう。
そのため、柱が引き抜かれ耐力壁としての機能が損なわれると、次の揺り返しに
耐え切れず建物の自重で一気に倒壊に至るため、逃げることができない。
今回の能登地震が倒壊棟数の多さの割りに、死者が1人だったのは奇跡に近いが、
伝統構法が多かったことが、この結果を導いたのは確かなようだ。
なるほど!
大きな地震なのに被害が少なかった理由が分りました!
ところで私は誰でしょう。
by きょっと (2007-04-13 23:39)
●きょっとさん
最初、判りませんでしたよ!(当たり前か・・・)
ズバリ、romeoさんのおっと!
romeoさんって・・・・(T_T)
となると、僕は浜自カフェのおっと?(笑)
by 浜松自宅カフェ (2007-04-13 23:44)
地盤って大事なんだな~。大地震がある度に、もし京都に大地震がきたら、どうなるのだろう・・・っと不安になったりします。大地震が今までなかったから、古い建物が多くあるんですけど・・・
by gottu329 (2007-04-14 08:58)
●hgchさん
地盤大事ですね。地盤係数で説明すると、埋立地のような軟弱地盤の
場合、一般的な地盤の5割増しの耐震強度が求めれますからね。
京都って歴史上、大地震はなかったのですか?ちょっと気になりますね。
カフェオランジュさん、カラスさん
nice!ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2007-04-15 00:00)
そうそう 私も 思いました
あれだけの 大地震で 一人だったってこと
その方に対しては 本当にご冥福をお祈りしたいけど
不幸中の幸いでしたよね
by (2007-04-15 10:47)
●Fountain☆さん
実は僕も不思議だったのですよ。逃げる余裕なんてないと思っていました
から「農作業に出かけていたのかな?」なんて考えていました。
ちょっと専門的になってしまいますけど、伝統構法における貫構造(柱内に
横木を貫通させる構造)がエネルギーを吸収して粘り強く倒壊することの
効果が改めて実証された訳ですね。
by 浜松自宅カフェ (2007-04-15 12:29)
最近少し考える事があります。
阪神では、一気に家が倒壊した。
能登半島では余り倒壊しなかった。この差は一体何だろうと・・・
最近の建物は地震に対抗するように造られます。
それが果たして正しい方向なのか?とも・・・
根本的に考える必要に迫られているのではないか?と・・・
by アキラ (2007-04-16 11:57)
昨日の地震ですが大阪でもゆれてました。
知り合いが大阪市内のビジネス街にいたのですが、
みなさん一斉にビルから飛び出してきたとか・・・。
by ゆつき (2007-04-16 14:04)
浜松(東海地方)に住む僕としては、地震のニュースってやっぱり敏感になっちゃいますねぇ。家がまだ新しいもんですから。
いろいろ備えてはいるんですが、きっとドンって下から突き上げられたら、何にも出来ないんでしょうねぇ。
ところで、先週末友人宅に向かうために、国道257号を舞阪方面に車で走っていたのですが、途中で行きすぎたことに気付き戻るために適当なところで曲がったら、なんとっ!浜松自宅カフェさんのお宅(と思われるコ○○ラ○○○ーの前のグッジョブな建物)を発見してしまったんですよぉ。
深夜だったので、じっくり見ることは出来ませんでしたが、やっぱり新築前に出会いたかったと思ってしまいました。
by えーき (2007-04-16 21:11)
●アキラさん
国交省でも、Eディフェンス(3次元震動台)を使用し、伝統構法の構造
耐力を科学的に解明しようとしていますから、今後、在来構法に伝統構法の
長所を採り入れた仕様などが告示化されるかもしれませんね。
一方、ハウスメーカー各社はローコストな簡易制震の開発を積極的に
行なっているように感じられます。
層間変形を許容し、制震ユニットで地震エネルギーを吸収させるようですが、
外壁材や内装材が追従できるのか?或いは損傷を認めるのか?
広告を読む限りでは???です。
●ゆつきさん
一斉にですか?ビジネス街の大地震の場合、上から割れたガラスや
外壁が落下してくる恐れがあるから、恐いですよね。
僕は浜松市内のオフィスで仕事中だったのですが、下から突き上げる
P波(初期微動)と続くS波(横揺れ)から、「大きくて近い!」と感じました。
by 浜松自宅カフェ (2007-04-16 21:42)
地上に建てている限り、地震の脅威を完全に克服しようとすることは、永遠のテーマかもしれませんね。
自然のエネルギーを想定しても、それをいとも簡単に超えてしまうすさまじい力を自然は持ってますものね(^^;
by hidenosuke (2007-04-17 08:17)
●hidenosukeさん
>すさまじい力
う~ん、あらためて考えさせられました。
「こんな大きな建物が揺れるなんて?」って思っていましたけど、
考えてみれば、もっと重い地盤を揺らす程のエネルギーですからね。
地盤の上に乗っている建物なんて、塵みたいなものなんですよね!
by 浜松自宅カフェ (2007-04-17 20:46)
前に何かのセミナーで話をうかがった事があるのが「地震で壊れる際の壊れ方を考慮して設計すべき」との言葉、私は屋根材の人間なので構造はよく解りませんが、妙に印象に残っています。
確か、「地震で垂直方向の柱が破損すると家が倒壊するが、水平方向(床方向)の構造材の破損ならば、家は壊れても斜めになるだけで人の居るスペースが守れ、人の命を守ることが出来る」と言った趣旨だったように記憶しています。
在来工法には、家が壊れた場合にスペースを残す設計というのも経験的に加味されていたのかもしれないですね....。
PS.
能登の被災地に、5月初旬~中旬に視察に行く予定をしています。
(屋根の被災状況を見るのが目的なので、ブルーシート貼りが一段落して復旧作業に入ってからにタイミングです)
by たいせい (2007-04-18 09:33)
●たいせいさん
ちょっと認識違いかもしれません。
この記事で言いたいのは、在来構法ではなく、伝統構法のことで、
「伝統構法は耐震性能的には優れていないが、倒壊までの時間をかせぐ
ことができるため、避難をすることが可能であった」と言うものです。
これを満たす要件として、太い柱、梁、貫構造、土塗り壁がそれです。
伝統構法に比べて、細い材を用いることが多い在来構法は、倒壊しても
這い出すスペースが確保されにくく、地震エネルギーを吸収しにくい
構造だと言っているのだと思います。
屋根専門の視点で見る、能登地震。レポートアップされるのをお待ち
致します。
by 浜松自宅カフェ (2007-04-18 10:46)