津波とは何か? [ ・耐震強度、地震対策]
マグニチュード9.0と言う観測史上最大の東日本大地震による未曾有の震災被害が
連日報道されています。
こんな時に「自分に何ができるか?」と考えてみました。
これまで「津波が正しく理解されていないなぁ」と感じていたこともあり、浜自カフェBlogを
ご覧いただいている方のために「津波とは何か?」を僕なりに解説してみようと思います。
とは言え、僕は地震の専門家でも津波の専門家でもありませんから、スマトラ地震の映像から
分かったことを物理学用語を引用しながら解説してみたいと思います。
(波を動画を用いずに説明するのはとても難しいため、どこまで伝わるかわかりませんが)
津波を一般的な波と同じように理解してしまいがちですが、むしろ、、、
“津波”とは流れを伴う急激な水位変動
と考えた方が良いと思っています。
津波の模式図を描いてみましたが、皆さんはA点に立っているとイメージしてみて下さい。
上図では、震源を起点として自分に対し、凸の波(水位が上がること)が来ている状態です。
一方、反対側では、凹の波(水位が下がること)が伝わっていきます。
スマトラ地震では最初に波が引いた映像が流れましたけど、凹の波が先に到達したからでしょう。
ここで『波』について知っておく必要があります。
波とは水や空気などの媒体を通して、『振動』が伝わる現象のこと。
『振動』とは、行ったり来たりの繰り返しのことで、一往復するまでの長さを『波長』と言い、
一往復する時間を『周期』と言います。
(ここまでついて来れていますか~?)
一般的な波の周期は長くても十数秒、波長は百数十メートル程度であるのに対し、津波の
波長は十数キロメートル(長いものでは100キロメートルを超えるそう)に及びます。
波長が長いということは、後から後から海水が供給されるため、水位がどんどん上がっていく
ように感じられ、
今回のような大津波では、周期は1時間(水位が上がって下がって元に戻るまでの時間)近くに
及びます。
波は寄せては返すと言うように、第二波、第三波と続きますから気を緩めて元に戻っては
いけません。
津波と一般的な波を間違って理解する原因は、
波長(周期)が一般的な波と比較して、極端に長いため波としてイメージすることが出来ない
からでしょう。
それともう一つとても大事なことですが、
地形により波高が高くなる
と言うこと。
波には、他の波と重なり合うと高さ(振幅)が大きくなると言う性質があります。
一方で、凸の波と凹の波が重なりあうと、打ち消し合って小さくなってしまいます。
つまり、
波高は、水深が浅くなるに従って高く、そして入り江などのように狭まるに従って高くなります。
では、具体例をあげて説明してみますね。
A 水深が浅くなる場合
水深160mで波高1m ⇒ 水深10mになると2倍に増幅され波高2m
B 間口が狭くなる場合
湾入り口の幅900mで波高1m ⇒ 間口100mになると3倍に増幅され波高3m
C 水深が浅くなり、同時に間口が狭くなる場合
AとBが同時だと2×3=6倍となり、波高6mにまで増幅されます。
よって、波高1.5mで到達したとするとこの条件では理論上、波高9mに達することになります。
これをイメージしていただくと、今回起こったことが理解しやすいのではと思っています。
これらは理論上の概念を単純化して説明しただけに過ぎません。
実際はもっと複雑に色々な要因が重なりますし、それらを説明しきれるほどの知識を持ち合わせて
いるわけではないことをお断りしておきます。
今回僕が言いたいことは、TVなどの映像から色々な情報を得られるわけですから、
しっかりと目に焼き付けていただき、何が起こっているか、なぜこうなったかを考える機会に
なればと言うことです。
これまで耐震や防災準備について触れてきましたが、スマトラ地震の映像を見て以降、
僕自身一番の不安は津波でした。
東海地震でも同程度の地震が想定されていましたから、ハザードマップを参考にして土地選定を
したわけですが、その前提条件が想定を大幅に超える場合があることを知りました。
となれば、遠州灘の防潮堤を超えることを前提に、家族を避難させることを考えなくては
いけないと考えています。
今回、被災された方に対して掛ける言葉を持ち合わせてはいませんが、
僕自身が得意とすることでできることとして、この記事を書かせていただきました。
東海地震と言われて35年になる静岡県にとっては、いつ同じ状況になるとも知れません。
偶然にもこのBlogに目をとめていただいた方は、是非自分でできる範囲で行動を起こして
いただけたらと願う次第です。
すばらしい記事だと想います!
どんなに不幸なことがらでも
現象を理解し不安や恐怖をぬぐい去り未来へ向け復興するために 人は知ることにより明日への力を養うのですから!
私も建築や金融に携わる者として精一杯自分の仕事を明日からしようと思います!
by denn (2011-03-13 22:23)
●dennさん
ありがとうございます。
ブログコンセプトに則って、また僕が得意とすることからこういう記事を
書くことじゃないかと考えました。
と言うのも「津波って怖いんだね?」と言う声が多かったからですが、
昨年のチリ地震の津波で静岡県内の交通が遮断されたことから、
津波と一般的な波の違いを説明したところ「へぇ~」って言う人が多かった
のですよ。
「スマトラ地震でわかったわけじゃないんだ?」と気付いたため、いずれ
記事にしようと思っていたのですが、説明用のイラストを描く必要が
あったためこれまで記事にできなかったのです。
話は変わりますが、そんなわけで竜洋のキャンプ場では結構ヒヤヒヤ
しながら一夜をすごしていました(笑)
by 浜松自宅カフェ (2011-03-13 23:49)
スマトラ地震のことをちゃんと理解した人は
日本人では少なかったように僕も感じてます。
それでも日本の研究者ですら安心していた釜石のスーパー堤防ですら、
超えて到達した今回の津波。
想定範囲外のことも前提に行動しなければいけないということを
今回の地震で日本が学んだように思います。
by plusgate (2011-03-14 10:54)
前向きな行動 すばらしいです。
施工業者として 何を伝えていくべきか、考えさせられました
今出来る事を 考え行動していこうと 思います。
by デザイナーズレントハウス (2011-03-14 15:55)
●plusgateさん
正直、この記事を書いていて虚しさは残ります。
結局のところ、自然の大きな力の前には人間にはなす術がないことを
まざまざと見せつけられたわけですから。
それほどに津波の恐ろしさを植えつけられました。
●デザイナーズレントハウスさん
コメントありがとうございます。
物理的な行動以外にできることでは、こういうこと位しか思いつかない
のがもどかしいです。
施工者の立場からであれば電気やガス、水道などに関することで
注意喚起できることがありませんか?
専門家ならではの役立つ情報提供を考えてみていただければ。
by 浜松自宅カフェ (2011-03-14 20:25)
はじめまして。
思わず初コメントします。最近、御カフェの事を知り、今度実家に帰省する際には行ってみたいなと思っていました。
実家が浜松で、御カフェにごく近い町です。
私は現在横浜在住で、横浜もとっても揺れました。たまたま夫は千葉にいて、もっと悲惨に状況に合っており、交通は麻痺し帰宅できず・・・子ども達と夫不在の不安な時間を過ごしました。
私も子どもの頃から、ずっと「東海地震がくるぞ」と言われてきましたが、あまりに長く言われ続けてきたため・・・麻痺してしまい、今回全く対策が取れていなかった事に大反省しました。
そして、記事を拝読し、津波というものを理解していなかった事を知りました。ただ、漠然と怖いもの・・・という認識しかありませんでした。
有意義な記事をありがとうございました。
これからもブログ拝読させていただきます。
by モチヅキ (2011-03-14 23:04)
地震以来、何だか無力感に包まれています。
前向きな記事にはホッとするとともに、尊敬してしまいますね。
とりあえず、ささやかながら募金してきました。
これくらいしか今は出来ませんけど。
by TOY (2011-03-15 22:15)
●TOYさん
コメントありがとうございます<(_ _)>
まずは本業を頑張って日本の経済を支えることだと思います。
その上で、求められること&出来ることをすれば良いでしょう。
募金は地味ですがもっとも助かる行為だと思いますよ。
by 浜松自宅カフェ (2011-03-16 22:21)