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木造住宅の耐震性(その3) [ ・耐震強度、地震対策]

木造住宅の耐震性シリーズ(その3)のお題は

『五重塔は、本当に地震に強いのか?』

坂本先生の推論(事実は判らないので、、、)は、

「五重塔が、耐震的であることは事実」
「実績としても、シュミレーションからも確認されている」

しかし、、、面白いのはここから。

『昔の熟練した宮大工が、地震に強くなるように建てた。』
『昔の大工には、地震に対する知恵と技術があった。』

「と言う定説は間違い。」

「なぜなら、、、」(←本当にこういう言い方です)

「五重塔は風に弱いから!」

過去の大地震で、倒壊した五重塔はないそうである。

しかし、室戸台風では、木っ端微塵に破壊されたらしい。
10数年前に到来し、青森のりんご農家に多大な被害をもたらした『りんご台風』
でも五重塔は被害を受けたそうだ。

「日本において、地震と台風に被災する確立を考えれば、当時の大工、棟梁が耐震性を
考慮したとは極めて考え難い」

と言う論拠でした。

う~ん、納得しました(笑)

次回はシリーズ最終回
『耐震改修は、本当に効果があるのか?』
をお送り致します。


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kankan

なるほどねーって思います。そういう観点から五重塔をみるのもおもしろいですね。
by kankan (2006-07-03 23:57) 

浜松自宅カフェ

●Kankanさん
 いつもnice!&コメントありがとうございます。
 通説は事実ではないことを、改めて実感した次第です。
 当時の大工さんの気持ちになって考えみると、数百年に一度あるかないかの
 地震に対して、耐震技術を考える組織などあるはずもなく、それを反映する
 手段もないはず。(ITなんて無いしね!)
 読み書きできなかった可能性も高いと思うので、文章による技術の伝承も
 難しかったはず。
 考え方の勉強になりました。
by 浜松自宅カフェ (2006-07-04 09:12) 

hidenosuke

先日はコメントいただきありがとうございます。
五重塔、見事なもんです。
「遊びがあるから揺れを逃がす」という考えもあるようですね。
確かに、その時代を考証すると「耐震」という概念は無いと考えるのが普通ですよね。
大工さんは耐久性と造形美、どちらを念頭に置いて作っていたのでしょうか?
by hidenosuke (2006-07-04 12:43) 

stella

今週末、武蔵工大の構造の先生を招いて「耐震座談会」を行います。
毎年、2,3回は行うのだけど、必ず出る質問が
耐震・制震・免震は何が違って、どれがいいのか?です。
最近のHMは各社謳っていることが違うので
一般の方は悩むのでしょうね。
by stella (2006-07-04 12:47) 

JOHN

専門的なことはわかりませんが、思わず笑ってしまいました。
そうなんだ、五重塔って風に弱いのですねぇ。

もしかしたら、8月に浜松に行くことになるかもしれません。
同窓会の企画があるらしい…(未定)
その時には、浜自さんとこにもお邪魔したいものです。
by JOHN (2006-07-04 13:57) 

アキラ

五重塔,私は昔の宮大工が耐震性を考えて、真ん中に柱を立てた・・・と習いました。
今まで、それを信じていて、奈良へ行ったときにもウンチクを語ったのにー・・・
そうだったんですか?認識を新たにしなくては・・・
by アキラ (2006-07-04 18:14) 

浜松自宅カフェ

●hidenosukeさん他
 >「遊びがあるから揺れを逃がす」という考えもあるようですね。
 結果として、そうなったと言うことなんでしょうね。専門的な説明で恐縮ですが
 地震波に共振しにくい、「固有周期」と言うことになります。

 建物の被害は、地震波の震動に建物が共振して変形が大きくなり、外壁や
 窓が割れ、柱が引き抜かれて倒壊するメカニズムです。
 stellaさんが紹介している「池上本門寺五重塔」の固有周期は1.5秒と長く、
 地震波と共振しにくい訳です。
 ちなみに、近代工法による2階建て木造住宅の固有周期は0.2~0.3秒となり、
 共振しにくくなっています。

 >大工さんは耐久性と造形美、どちらを念頭に置いて作っていたのか?
 もちろん知ることはできませんが、宗教建築のプライオリティは造形美のような
 気がします。お施主さんである大僧正の一声だったり・・・(ウソですよw)
●stellaさん
 確かに、耐震、制震、免震の違いが判らない方多いでしょう!と言いつつ、
 きちんと答えられない本業の方も割といると思いませんか?
●JOHNさん
 ええ、お待ち申し上げますとも。ソネブロユーザーさんでは初のご来店となり
 ますね。
 ブログ上でコメントいただき、プロフからメールいただければ間違いないと
 思います。地図と連絡先をお送り致します。自転車もご覧あそべ~(笑)
●アキラさん
 200nice!踏んでいただきありがとうございます。残念ながら賞品の用意は
 ありませんです。
 僕も宮大工の技術説をテレビで観て、信じていたクチです。
 ですが、、、ネットもなく、文献もなく、一生に一度あるかないかの地震経験
 を元に新しい技術で五重塔を建てることは神業以外の何者でもないと思い
 ませんか?まっ、真実は判りませんが。
by 浜松自宅カフェ (2006-07-04 22:46) 

NO NAME

いやあすごい結論への結び付け方ですね(笑)
それに組織がないなんてことはありませんよ(笑)
技術は口伝等でも弟子に伝わっていくものです。
発達地域を考慮すれば間違いだなんて断言できないと思いますけどねぇ。
台風の被害で重点を置いているのは今も昔も河川の氾濫だと思います。
地震についてはインパクトが大きいので情報は代々蓄積されてますよ。
by NO NAME (2006-07-05 09:22) 

浜松自宅カフェ

●NO NAMEさん
 コメントありがとうございます。辛口コメント全然OKです。
 僕は、今回のセミナーでのことをそのままお伝えしたかっただけで、事実か
 どうかは正直判らないと思っています。
 坂本先生は確かに断言的な表現をなさっていましたが、クローズドなセミナー
 だからとおっしゃっていたので、僕の表現に問題があるかもしれませんね?

 僕がここで言いたかったのは、物事を多面的に見るべきだってことだけで、
 その見方の一つとして提起したと思って下さい。
 おっしゃるように、大工職等の職人さんは徒弟制度ですから、口伝等で
 伝わったと思っています。
 ただ、、、大きな地震に対する備え、五重塔で言えば「免震」のような高度な
 建築技術を当時の職人さんに開発可能だったか?と考えると
 「確かに難しいだろうな」と思った次第です。
 
by 浜松自宅カフェ (2006-07-05 23:03) 

たいせい

 五重塔と風ということで、コメントさせていただきます。
 数年前に、やはり瓦の風力特性を明らかにする目的で、神奈川大学の大熊先生や泉創建エンジニアリングと実際の家屋を使った実験をしたことがあります。(新建築基準法のピーク風力係数が果たして適正であるか否かの、実証実験です。:面として設定された値を、屋根面としては流体力学的に表面に凹凸のある瓦一枚一枚の性能評価の基準値となることに違和感がありましたので)

 その際に、泉創建エンジニアリングの方がおっしゃっていたのは、風力モデルとしての「五重塔」は実のよく考えらた建築物だということでした。
 具体的には、①屋根面に土葺き工法による瓦葺きで十分に重みをかけ、それに耐える構造にすることにより風での動揺を軽減、②隅棟を高く作ることにより風下側の風の流線の剥離を促進・スムーズにし、風の影響を減殺させる、と言うことだったと記憶しています。
 これは、2002~2003年に縮小モデルを実際に製作して風洞実験をされた際に、当初頭の中で想定していた値よりも遙かに強い実測値が出て、検討された結果わかったことだそうです。

 当然これは当時の人が理論的に考えて行ったことではなく、経験に裏打ちされた建築の結果だとは思いますが、今の我々が及びもつかない英知がそこにはあったようです。

 一般の民家などでも、①棟が高い方が風に強い、①風切り丸(袖瓦の数枚内側に1列から2列の丸冠を施工)は風対策として有効、③表面形状の平らな平板瓦や新生屋根材よりも、凹凸のある和瓦の方が風に強い、等の話しを同時にうかがい、先人の知恵と言うことに刮目いたしました。

 ただ、風の被害ということになると私の業界でも非常に難しく、同じ施工・同じ切り妻の屋根が隣同士で隣接している場合でも、片方が無事で、片方が大被害等ということも現実に起こっています。
 また、台風などの場合、局所的なつむじ風が起こる場合もままあるようで、どこまでを目標性能とするかについては、本当に難しいと思います。
(たしか、「りんご台風」での五重塔の被害も付近の木が倒れかかって、結果として塔が被害を受けたように記憶しておりますが、私の方が間違いであったら申し訳ありません。)

 現実には塔の場合一番の毀損要因は落雷であったようで、地震・風・落雷の地域的な発生バランスを考えて、数百年単位の経験と伝承により、当時の技術水準の中で先人が英知を働かせて作られたということだと思います。

 決して、塔は台風などの強風について考えていない建物ではないと思い、辛口になってしまい申し訳ありませんでしたがコメントさせていただきました。
by たいせい (2006-07-06 11:51) 

たいせい

 浜松度カフェさんがここで言いたいのは「五重塔の耐風性」ではないと言うことは、了解しているつもりでいます。
 「五重塔と台風」に関する坂本先生の話に思わず反応して、長いコメントを書いてしまいました。

 個人的には、学者先生の「今起こっていることはすべて、現在の科学で解明されている」、「過去のものより、今のものの方が正しい」というのに違和感を感じていたりします....。
by たいせい (2006-07-06 12:28) 

浜松自宅カフェ

●たいせいさん
 辛口コメント全然OKですよ。僕の考えを押し付けるものではなく、「こういう
 意見もあるよ!一定の納得感があると思うのでご参考までどうぞ!」と言う
 意図で紹介させていただきました。
 それに、ブログの趣旨はあくまで個人メディアなので、誹謗中傷やプライバシー
 の侵害などは別にして個人的な思想の表現手段であって、異論反論も
 参考にさせていただきたいと思っています。
by 浜松自宅カフェ (2006-07-08 22:37) 

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