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住まい作りのセカンドオピニオン(土地探し) [ ・友人の家]

住まい作りのセカンドオピニオンを依頼されたHさんから、土地選び
ご相談がありました。

・・・と言っても、僕は土地の正しい選択方法を知っている訳ではありません。
浜自カフェの土地選定にしても、土地の持つ雰囲気とカフェとしての立地であり、
最終的には予算で決めましたから

 

では、そんな僕に土地のどんなアドバイスができるのか?

 

実は、こんなものがあります。




古地図と言います。
図面タイトルの「浜松」の文字が旧漢字で書かれていますよね

これは、大正6年測量した「浜松市」の古地図です。
都内の国土地理院で購入しました。


確か、一枚400円程度だったと思います。
1つの区域で年代を変えて3枚(大正、昭和初期、昭和中期)。
静岡県西部の4区域分の計12枚を購入しました。

 

ちょっと右下の一部をアップにしてみましょうか。。。

判りやすくなるよう池沼(ちしょう)を水色田んぼ黄色で着色してみました。

こうすると、現代の地形図では見えなかったものが見えてきます。

 

農業主体の時代ですから、土地利用を見れば、色々なことが読み取れます。

 

当時は、農業機械や土木機械が発達していませんから、水を入手しやすい場所に
田んぼができます。

ここからは僕の想像ですが、日本はお米が主食の国ですから、農民はまず稲作をし
お米を作ろうと考えるでしょう。
そのため、自ずと水を引きやすい土地に田んぼが発生します。

次に、やや水が入手し難い乾燥した土地には、桑畑果樹園ができるようです。

 

面白い発見だったのは、最も水が溜まりやすい場所には30ヘクタール(30万㎡)以上
大きな2つの蓮田があり、現在では公園として利用されています。
この辺りは大雨が降ると、数十センチも道路が冠水するため住宅の敷地は各自が
盛土をして地盤面を上げています。

 

こうして、古い土地利用と雨水の集水流域を見ると、土地の成り立ちが
想定できるわけです。


丘陵部などは造成してしまうと、谷部を盛土した土地か、地山を掘削した土地なのか
判らなくなってしまいますが、こうして古地図と重ね合わせて見れば一目瞭然ですね。

特に、大規模な区画整理をしたニュータウンなどは地名も残っていないため、
地名を参考にすることもできません。

 

最終的に住宅設計をする際は、SS(スウェーデンサウンディング)試験標準貫入試験
元に検討しますが、購入していない土地で試験を行なうのは不経済ですからね。

 


こうした事前調査(他にもありますけど・・・)で、自然災害の想定をしておくことが
最終的に経済的な家作りにつながるわけです。

 

地域の図書館や神社などからも、過去の災害履歴を調べることができますし、
お年寄りにヒアリングしてみるのも良い方法だと思います。

 

これから土地を選定する方は、是非参考にしてみて下さいね。


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コメント 14

stella

おっしゃるっとおりですね。
「沼」とか、「新田」とかと付いている地名はほとんど、名の通り。
勤務先の埼玉南部は軟弱地盤地が多く、
地盤改良にかなり金額がかかります。
これは大きな差額ですよね。
by stella (2007-01-22 00:19) 

浜松自宅カフェ

●stellaさん
 関東平野はしようがないですよね。平野部に土地が確保できるだけでも
 尊敬しちゃいますよ。
 確かに、浦和、川口、川越果ては、見沼田圃と川や水に由来する地名ばかり
 ですものね。浦和なんて鰻料理が有名だしね!
 三郷(みさと)ってもしかしたら、水里だったりして~?
by 浜松自宅カフェ (2007-01-22 00:32) 

蒲公英

「古地図」・・・こういうものがあるのですね。
人の歴史の中で必要なものが残るということでしょう。
生きるためのノウハウまでも書かれている気がします。
奥深いのですね、地図も。
現代の地図も読めない私は・・・心改めます。
by 蒲公英 (2007-01-22 08:19) 

gottu329

土地探しの際は、やはり昔が気になりますよね。
私の住む京都は、歴史があるお蔭で古地図の変わりとなる図書が
多く販売されています。だいたいお寺や屋敷ですけど・・・
by gottu329 (2007-01-22 08:50) 

kyotto

なるほど~。
土地を見ていた時、何をどう検討していいのかわからずでしたよ。
立地と値段と・・・あとはそこに立った時に感じた”何か”で選びました。
母には水に関係する名前のところ、谷がつくところは・・・
なんてしつこく言われましたけど。
昔の人は自然に大きく逆らうことなく暮らしていたんですね。
それは私たちも学ぶべきところなんでしょうね。
by kyotto (2007-01-22 08:58) 

浜松自宅カフェ

●蒲公英さん
 「基礎と地盤」の建築技術セミナーを受講した際、「事前調査をすると良い」
 と教えてくれたのですよ。
 この地図はなかなか面白いですよ。地名の由来とか色々と新しい発見が できますから。
 名古屋だったら、「極楽」の由来が気になっています。

●hgchさん
 京都だったらそうでしょうね~。京都には及びませんが、このあたりも
 旧「東海道」の歴史がありますから、昔話から多少は読み取れるかも
 しれません。
 津波から村人を救った、「稲村の火」はその良い例ですよね!

●romeoさん
 僕らも基本的には第一印象が大きいです。つまりカンですよね。
 だけど、カンはどうしても客観性に欠けるため、こういう情報を参考に
 します。
 もう一つ参考にした情報は、静岡県のHPから「東海地震第三次被害想定」
 です。
 地震の加速度、津波の高さ、液状化の危険度などが判ります。

 そう!僕が言いたかったのは「昔の人は自然に大きく逆らうことなく暮らして
 いた」と言うことです。それを汲み取っていただき嬉しく思います。
by 浜松自宅カフェ (2007-01-22 09:54) 

plusgate

地名などで判断したり、名古屋ではやはり熱田神宮近辺以外や、山周辺以外は基本的にはよくありません。川や海に囲まれているので当然といえば当然ですが。
by plusgate (2007-01-22 14:39) 

hidenosuke

まず、地名から辿っていくのが王道ってとこですかね。
高度成長期を経て、土地の形が変わりまくってますから、こういう古地図が逆に生きてくる世の中でしょう。
by hidenosuke (2007-01-22 16:48) 

浜松自宅カフェ

●plugate316さん
 まずは、600nice!ありがとうございます。
 熱田神宮周辺は、やはり地盤が良いのですね!歴史的を刻んだ街は、
 安全性も高い可能性が高いですよね。
 現代の都市部では、「地盤条件が良いところを探す方が難しい」と
 基礎工学の先生もおっしゃっていましたね。

●hidenosukeさん
 おっしゃるように都市部や平野部は、地形図をみても判別が付き難いです。
 特に新しい地名は一度疑ってかかる必要性があると思います。
 今回言いたかったのは、あらかじめ危険因子を理解して、その上で対策を
 する事をお奨めしたかったのです。
by 浜松自宅カフェ (2007-01-22 18:33) 

アキラ

私が住む地域のマンション計画地の中から縄文土器片や弥生土器更には竪穴住居跡と思われる遺跡があることが昭和40年代に判っていて、その後本格的に詳しい調査がなされないまま、都計法の許可が下りています。

今私たちは昔の地形がどのようになっていたのかを知りたくて、その方策を打ち合わせる所でした。
早速古地図を購入して来ます。

実にタイムリーな記事・・・ありがとうございました。
by アキラ (2007-01-22 18:43) 

miho-rin

hamamatuが 旧字体であるのと共に 
右から書かれていて おぉ!って感じ(漢字?!)です
こうやって 変化を感じることが出来る地図って
楽しいですね 
社会科の勉強もこうやって 入り込んでくれれば
もっと楽しかったのかもΣ( ̄▽ ̄;;) 
by miho-rin (2007-01-22 21:09) 

浜松自宅カフェ

●アキラさん
 お役に立てたのでしょうか?
 浜松エリアでは、大正6年が最も古い地図でしたけど、その年代以降でも
 遺跡の痕跡って残っているのでしょうか?
 古地図で、工事の差し止めが出来たとしたら画期的ですね!

●みほさん
 なるほど~!確かに、社会の地理などで使ってくれると興味が湧きますよ。
 神社などは、意外に歴史が浅いことが判るし、河川敷きが道路に変わって
 いたりします。
 国立大学などの国有地は、陸軍学校だったことが判ったのは発見でした。
by 浜松自宅カフェ (2007-01-22 21:21) 

お~なるほど!
我が家の地面は一体どうなっていたのでしょう・・・。
現在では我が家の前の道路の下を地下鉄が走っていますが、遠い昔は地下鉄も地上を走っていたとか・・・。あ、地下鉄が出来たのは、まだ5年前でした。
by (2007-01-22 21:40) 

浜松自宅カフェ

●eddieさん
 道路の地下に地下鉄が走っているんですか?って南北線かな?
 地形図は、地下構造を知るよりも土地の成り立ちを知ることがが目的です から、地下構造はボーリング試験をしないと判らないですね。
by 浜松自宅カフェ (2007-01-23 09:46) 

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