ものづくりについて考えてみました [ ・家づくり勉強会]
ひなたCAFEの庭もすっかり秋色に染まってきました。
■コナラ(左)とジューンベリー(右)の紅葉
ひなたCAFEは『雑木林の中にあるカフェ』をランドスケープデザインのコンセプトにしました。
だから、庭にはできる限りの木々を植えてあります。
春の新緑、初夏の実り、秋の紅葉など季節の移ろいを楽しめるように。
それは、住まい手やカフェのお客様は勿論、地域住民にとってもその方が気持ち良いんじゃない?
と思ったからです。
さて、、、
話は変わりますが今回は、ものづくりについて常々考えていることを述べてみます。
商品開発に携わっている方だけでなく、建築のお施主さんや自宅ショップなどを始めようと
お考えの方もご一緒にお考えいただければ思います。
そもそもなぜ、ものづくりについて書こうと思ったかと言うと、社会人2年目の女性Nさんから
「私、ものづくりがしたいんです!」
と今年の2月に相談されたことがきっかけでした。
1時間程話をし、少しでも参考になればとサーファーズ・ニアビーチ・ハウスの話をしたり
上棟式に呼んだりしたわけですが、その後の彼女の行動を見ても何か行動を起こしているようには
見えないのです。
「ものづくりをしたいのなら、どんどん自分で行動していけば良いのに・・・。」
と思うのですが、彼女の行動を見ていると「活躍の場を作ってくれないから~」と
自ら行動をしていないように見えるのですね。
最初にNさんから相談を受けた際、彼女自身がものづくりとは何なのかを定義できていないと
感じました。
と言うのも、彼女が引き合いに出すものづくりをしている人と言うのは、図面を描いている
同期のことであり、自分が図面を描いていないことに対する焦りだったからです。
ちなみにものづくりの定義ですが、日本が高度成長期にある時代においては製品など
物そのものを指していましたが、モノ余りの現在においては形のあるものだけでなく、
映画やTVのコンテンツだったり、サービスの形態なんかも含むようになりました。
ここからは僕個人の意見ですが、製品であれサービスであれ、ものづくりとは
それに携わった人の意思が反映されていることであり、新しい価値を伴ったもの
ではないかと思っています。
どういうことかと言うと、どこかで見たものを単に再現しただけであれば、それは単なる
作業であり、それに携わった人間が価値を加えたことにはならない訳ですから
労力以上の報酬を得るべきではないと思うのです。
それが単なる労力だけの価値しかない作業であれば、機械にやってもらった方が安くて確実だし、
第一文句も言いません。
すなわち、『ものづくり』とは単にモノを形作る作業ではなく、「こうあるべきじゃない?」
と言う思想を伴った行為全般だと思います。
「ものづくりをしたい」と言う人間が持つその意欲の源泉は、自分が考えたことを世に問うことで
自分を認めてもらうことだと思っています。
ですから、自分が発想できなかったことを見せつけられると「やられた~!」と悔しく思うわけで、
だからこそ「自分はその先を考えたい」と頑張るからです。
それがわかっていれば、単に図面を描いているというだけで同期に焦る必要はなく、
自分はどんどん行動を起こしていけば良いのです。
それが世の中に必要とされていることであれば、本人の意思に関係なく人が集まり
その人達に寄って前に押し出されていき、勝手に前へ進んでいくものです。
冒頭でひなたCAFEの庭の話をしましたが、僕が浜松のこの地にひなたCAFEを作り、
建築基礎講座を始めたのは、誰かに頼まれたわけではなく、僕が勝手に考えて行動したわけで、
その考えや価値に共感いただいた方が何かを感じ、
結果としてはるばる遠くからお越しいただいたり色々な方にご支援いただいたのだと思います。
ひなたCAFEにお越しいただいたお客様から、「2年前からブログを読んでいてやっと来れました!」
と笑顔で言われる言葉を何度もいただき、そういう結論に至りました。
(な~んて、、、違っていたらゴメンネ、ゴメンネ~♪)
すっかり秋ですね!
ものづくりに限らず、動かないと何も変わらないんだな…
と、心にグサグサ突き刺さりました。
いい意味で。
by JOHN (2009-10-12 06:49)
私が関わっていることに大変参考になりました。
また、ご相談、アドバイス、お願いするかもしれません(^.^)
by ムク (2009-10-12 09:09)
ものを作る人って、作りたいが”願望”じゃなくて、
”欲求”(笑)というか、とにかくその気持ちが強いんだと思うんです。
作りたい気持ち~完成までに必要なことの洗い出しは、
訓練、経験を積むことでできるようになるとは思うけど、
思いの強さがあれば、もしかすると、経験も訓練なくとも、
実現に向けて動けるような。
後は作りたいと願うものの形が具体的であることも大事なのかも。
(想いの強さ=具体性かも。ですね)
具体的であれば、実現は早く容易かも。
浜自caféさんは、いつも想いが強くて、いつも具体的。
もの作り、何かを実現していくための
基本の「キ」がしっかりしてらっしゃるなーって思います。
必要とされることももちろん大事。励みになりますね。
でも、何か作りたいという気持ちが、人のころろに響く形
で表れているからこそ、応援され、必要とされているのかもです。
人の心は巡る巡る。です。
スミマセン。寝不足で頭が回ってないんですが、
ふむふむと読ませていただいて、一言・・・と思いましたが、
長くなり申し訳ありません。。。
by hana (2009-10-12 09:30)
●JOHNさん
今回の記事、表現するのが超難しかったです!
記事をアップした後、読み直して3回修正入れましたから~(笑)
ですが、創造的で行動的な皆さんからコメントをいただき、
挑戦して良かったと思っています。
今週末に建築基礎講座を開催することもあり、その前にこのことを
文章にしておきたかったのですよ。
●ムクさん
尊敬するムクさんからそう言っていただき、この記事を書いて良かったと
思います。
僕でできることであれば、いつでもおっしゃって下さい!
メールでも電話でもお気軽に。
いずれはお会いしたいですから名古屋位ならいつでも大丈夫ですよ(笑)
●hanaさん
出ました~!料理クリエイター!
寝不足だろうと頭がまわっていなかろうと、言わずにいられない(笑)
いや、hanaさんマジで嬉しいですよ。
僕はやはりものづくりの現場に居たいですから、実現してこそなのです。
こういうことを徹底して考えることで自分が目指すべきビジョンを明確に
しなくては前に進めない(→結果、実現しない)んです。
机の上でデータや文章をこねくり回すだけの人間にはなりたくないですから
ここは大事にしていきたいですね。
お忙しいのに長文ありがとうございました。
by 浜松自宅カフェ (2009-10-12 11:33)
ものつくりについての予告があってから日が経つので、苦労されているのかなー?と思っていました。なるほど濃い内容ですね。
Nさんは土俵に立つのが怖いのではないでしょうかね。草して自分を守ろうとするんでしょうけど、実は自分が成長する芽を自分で摘んでしまっていることに気が付いていないのですよね、そういう人って。
現代の物作りに要求されている大事なことのひとつは、物語(ストーリー)かなと思う近年です。
hanaさんのおっしゃること共感できますねー。思いが強ければ、多少稚拙であっても、伝わるんですよね。まさに物は技術で作るのではなく、ハートで作るんですわ。
by kuni (2009-10-12 20:44)
●micyuさん、岩金-iwakin-さん、dennさん
nice、ありがとうございます!
今回の記事は難しい内容なだけに、受け取ってくれる人が多くて
嬉しいです。
●kuniさん
いえ、確かに難しい内容ではありましたけど、記事の柱は概ね考えて
ありましたから、説明の流れをどう組立てるか思案しているうちに、
浜名湖サイクリングが入ってしまっただけです(笑)
今回、Nさんだけを取り上げていますが、他にもたくさんいます!
SNBHの現場だけでなく、完成し入居後の状況を見せましたけど、
恐らく見ているのは建築だけだったでしょう。
(背景とか過程も説明しましたけど、恐らく本質的なことは伝わって
いないと思います)
> 多少稚拙であっても伝わるんですよね。
本当、そう思います。
プロにとって表現やテクニックは確かに重要なんですけど、それ以上
に重要なことがあるんです。
今週末に開催する建築基礎講座では、「施主の思いが形になった!」
そんな衝撃の事実を見て感じてもらえればと思っています。
●くらいふさん
nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2009-10-12 21:46)
Nさんの気持ちちょっとわかります。
彼女は『ものづくり』よりも『ものづくりをしている自分』という社会的地位にこだわっている気がします。
きっと色々なことが思うように行かずに、焦って何かを見失ってるんでしょうね。
若い時ってそういうことありますよね~可愛いな~
by しゃくとりむし (2009-10-13 01:09)
●まるまるさん
nice、ありがとうございます。
●しゃくとりむしさん
本当優しいなぁ~♪お会いした時の第一印象そのものですね。
彼女に聞かせてあげたいですよ。
もちろん僕も彼女の気持ちが判らないわけでもないのですよ。
ただ、今だって責任を求めらる仕事を担当しているわけで、その中にも
ものづくりの視点はあるし、そうではなくすぐに現物を作りたいなら、
別に行なうか、職を替えるかしかないわけです。
自分が将来どうなっていたいか?が判っていないとNさんのようになる
ケースが多いと思います。
ですから、Nさんのような人は一人ではなく、実はかなりたくさんの人が
同じような悩みを持っていると思います。
by 浜松自宅カフェ (2009-10-13 09:30)
自分自身これまで家業である粘土瓦の製造ということを中心にして、ここでいう「ものづくり」に係わって生きてきましたが、いざ会社をたたむ段に成って初めて「どんな仕事でも自由に選ぶことが出来る自由」を初めて得たのだと言うことに気がつきました。
ただこれは「何でも出来る」と言うこと以上に「何をして良いかよく解らない」と言うことでもあり、自由をどう使うべきなのか?に戸惑っています。
その意味ではある意味、この記事中の件の女性の気持ちもわかるような気がしますが、四十代半ばの我が身ですので生活のためとは言え「納得できないものづくり」に係わりたくはなく、また人生も半ばをゆうに過ぎましたのでそう何度もやり直せるわけもなく、慎重になってしまいます。
by たいせい (2009-10-13 23:23)
●barbieさん
連続nice、ありがとうございます。
●たいせいさん
いやいやいやいやいや・・・!
たいせいさんとNさんの悩みは天と地ほど離れていますよ。
というより、、、たいせいさんの境地に達した人の方が稀ですからね。
確かに40代半ばで職業選択の自由があると、社会を知っているだけに
悩むでしょうね!
さてさて、たいせいさんの次なる職業が何になるのか、興味深々に
なってきました。
by 浜松自宅カフェ (2009-10-14 00:02)
『ものづくりがしたい』って考えたことなかったですね~
いつの間にかやっていた。したいことをしたらしていた。
というのが僕の感想です。
恵まれてるんでしょうね。きっと。
by plusgate (2009-10-14 18:03)
●plusgateさん
> 『ものづくりがしたい』って考えたことなかったですね~
> いつの間にかやっていた。したいことをしたらしていた。
あっ、僕もそうだ!!!
つまり、現在『ものづくり』をしている人は「ものづくりしたんですけど~」
って立ち止まっていたわけではなく、
最初から『ものづくり』をするべく行動していたのですよね!
きっと、遺伝子の中に書き込まれているのでしょう?(笑)
僕はいつもイチロー選手に例えて考えるんですけど、
イチローは子供の頃から、大リーガーのイチローを目指していただけで、
「なれないかも?」とか「無理かも?」とか考えたことなかったはずだと。
(ちょっと例えの対象が大きすぎますけど、そういうことなんだと思います)
by 浜松自宅カフェ (2009-10-14 19:14)
☆なんかこの記事をよんで、何かひとこと申しあげたいのですが、
あまり言葉が見つからず、(仕事しすぎて思考回路が断絶気味)
今日に至っております。
わたしのおじさんは、ものづくりのプロフェッショナルで、新聞にも
何回も載っていて、すごく尊敬しています。
でも、本人はそういうことをいたって当たり前のようにしているん
ですよね~。やる気次第だったり、努力次第だったり、いろいろと
意見はあるかと思いますが、それも本人の選ぶ道ですからねぇ。
私は堂々と言わせてもらいますが、自分は
運がよかっただけだと思っています(笑)
by ijimari (2009-10-27 01:42)
●ijimariさん
この記事の反応に正直、ちょっと驚いてます。。。(笑)
日本はものづくりで成功した国ですよね?
僕らにも脈々とその遺伝子が息づいているんだと思います。
運が良いと言う意味では、僕も同感です。
by 浜松自宅カフェ (2009-10-28 01:06)
初めてコメントさせていただきます。
私も物づくりを生業としていますが、浜松自宅カフェさんが言われる
他人の作品にやられたーっと思うことがよくあります。
私なんかは、どうしても作品の最終段階で、自分の中に妥協が入ってしまい、結局出来上がった自分の作品を見て、いい加減な納得をしてしまいます。
私はたまたま自分の作品を発表する場があり、ラッキーでしたが、自己満足では終わらないように、もっと認められる作品づくりをしていきたいと思います。
たいせいさんのブログの方からお邪魔させていただきました。
by よっしぃー (2010-02-17 22:43)
●よっしぃーさん
コメントありがとうございます。
鬼師さんでしょうか?
よっしぃーさん程の仕事をされる方でも妥協が入る事があるというのは、
意外でした。
でもそれは、より高みを目指していることだったり、もっと上が見えている
ということですよね。
とても励みになりました。
ありがとうございます!
by 浜松自宅カフェ (2010-02-18 00:03)