総額2,700万円でこだわりの家は作れるか? [■設計コンサルティング]
先週、知人のKさんから自身の家づくりについて、こんな相談メールをいただきました。
「予算2,700万で家づくりは可能でしょうか?」
もともとKさんは家への執着がなかったため、所有するつもりはなかったらしいのですが、
最近、家を持つことを考えて、マンションを見に行ったり、住宅展示場を訪れたりしている
ようですが、なかなかコレと言えるものに出会えないそうです。
僕はKさんの職業やスキルを知っているだけに、
「恐らく設計事務所でないと満足する家はできないと思いますよ!」
と直感的にお答えしました。
利害関係者(同居したり金銭的援助をする人)の有無、奥様の価値観は聞いていませんが、
Kさんのご職業がデザイナーであることを考えるとそうだと言い切れます。
そのため、総額2,700万円で設計事務所を使いながら家づくりをする場合の
考え方を示しました。
------------------ 以下、返信メール ------------------
Kさん
2,700万と言うのは、借り入れを含めて総事業費2,700万ですか?
つまり、土地取得、設計、建築工事、引越し、家具家電費用含めて。
それが条件ならそれでやるまでで、あとは施主の腹決め次第でしょう。
施主の腹次第と言うのは、例えば
■予算配分案
1.土地取得 1,200万
2.設計 200万
3.建築 1,200万
4.外構 30万
5.引越し 10万
6.家具家電 20万
7.諸費用 40万
------------
合計 2,700万
と予算を割り振ったとします。
この場合、土地は諸経費込みで1,200万で取得すると言う意味です。
例えば①坪20万円×50坪で1,000万ですよね?
②坪30万×35坪で1,050万ということで、その中で土地を考えるということです。
設計費用は一先ず基本的な額として200万としました。
建築費用も土地の考え方と同じです。
①坪30万×35坪で1,050万
②坪50万×20坪で1,000万
ということです。
僕ら設計屋さんはここから、建物のグレードとボリューム(大きさ)を考え、
この組合せが建物のコンセプトになります。
例えば、前者であれば、「倉庫のような家=すなわちガレージハウス」になりますし、
後者であれば、増澤洵さんの名作「9坪ハウス」になります。
http://9tubohouse.com/designers_file/masuzawa.html
ちなみに、僕がひなたCAFEを作る際にも同じことをしています。
■ひなたCAFEの予算配分
□資金
1.自己資金 1,000万(両方の親から200万の援助)
2.借り入れ 2,950万
-------------
合計 3,950万
□費用
1.土地 2,000万(駐車場5台、庭が大きく採れて幹線道路から1本入った所)
2.設計 100万
3.建築 1,650万
4.設備 60万
5.植栽 90万
6.引越し 10万
7.家具家電 5万
8.ブラインド 15万
9.諸費用 20万
-------------
合計 3,950万
設計着手時の建築予算は1,500万でスタートしましたが、最終的に1,650万で工事契約。
ただし、その後もカフェ開業による造作工事、設備追加、ロフト増床により、
現在の状態は、1,950万くらい掛っていると思います。
嫁さんは東京出身で、20歳で社会人になるまで2間の都営住宅で過ごしました。
僕も首都圏で生活していましたし、闇雲に物を所有したりはしませんし、
広い子供室を設ける考えもありませんでした。
ですから、最初は住める程度の箱を作り、生活ステージにあわせて変化させて行こう
と考えました。
ただし、譲れないことが幾つかあり、
1.天竜杉で作ること
2.豊かな植栽を施し、四季の変化を感じ取れること
3.小さくてもカフェが営業できること
4.どこにもないコンパクトでインパクトな意匠
5.カフェの床はm、土間コン仕上げとし築熱をする。
6.浴室脱衣室をRC打放しで作る
これらを満たし、2005年12月末までに入居することでした。
これらを土地と建築の条件としました。
本当は薪ストーブも欲しかったのですが、早々に諦めましたし、
他にもクローゼットの面積を減らしたりして、我慢できる部分は我慢しました。
僕らはこんな風に家づくりを進めましたが、経験上、厳しい予算でこだわりの家を作るための
基本的な考え方だと思います。
以上、ご参考まで。
------------------------------------------------------
こんな感じですが、「予算(資金)」というのは、「自由」だと言えます。
自由というのは、土地選びの自由、建設手段の自由、建築材料の自由、設備選択の自由、
工事期間の自由・・・。
予算が少ないということは、施主の選択肢が限られてはきますが、絞り込まれた中でも
選択肢がないわけではありません。
それを飲むことができれば、選択肢はある意味無限とも言えます。
これをちゃんと考えると後で悩まずに済むんですよね。考えずに進む人が多いのが残念なのですが・・・^^;
by plusgate (2013-03-04 12:21)
●jun-arさん
nice、ありがとうございます。
●plusgateさん
潤沢な資金があるのであれば、こんな面倒なことしなくても良いのです
けどね~。
ところがそうではないのが当たり前な分、冷静に客観的に予算執行
できるよう、面倒でもこの作業はした方が良いですよね。
by 浜松自宅カフェ (2013-03-04 13:38)
なるほど。納得。
資金=自由(理想を叶えることが出来る)ですね><
予算が限られるのなら、どこを妥協するか、とか
ちゃんと考えなければなりませんね。
引退記事へのコメントありがとうございました★
記事でコメント返しもしているのでまた覗いてくださいっ♪
今後とも今治造船ボート部を宜しくお願いします★
★ねね★
by 今造ROWINGTEAM (2013-03-05 13:34)
●今造ROWINGTEAM ねねさん
僕の経験だと、大体にして要望と予算は五百~1千万の開きがあること
が多いと感じています。
と言うのも金額が大きく、色々なことが複雑に絡み合っているため、
金額が判りにくいからで、一方で「あれが良い!これも良い!」と溢れる
情報に思考停止状態になってしまうのも仕方ないかなと。
コメント返しは拝見していますよ。
いつも「どなたがご覧いただいているのかな?」と思っていただけに
コメントいただいてスッキリしました(笑)
by 浜松自宅カフェ (2013-03-05 16:47)