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プロダクトプレイスメントを知っていますか? [ ・プロデュースの仕事]

先週水曜日、お昼のバラエティ番組「ヒルナンデス」を見ていて驚きました。

日テレの水曜ドラマ「知らなくていいコト」の番宣だったのですが、僕が15年前に
プロデュースした製品が写っていたから。
IMG_1977.jpg
■知らなくていいコト/日本テレビ系列 水曜22時
ゴシップ週刊誌の編集部を舞台に、女性ライター役に主演 吉高由里子さん、
元彼に柄本祐さん、上司(編集長)に佐々木蔵之介さん、父親役に小林薫さん
と言う僕好みのキャスティングです。

ドラマを予約して見たところ製品が採用されているのは、編集部の会議室。



IMG_1973.jpg
吉高由里子さんの真後ろにある白いパネルがそれ♪

この時の企画時のエピソードを2007年5月7日にブログ記事にしています。
https://todays-cafe-pre.blog.ss-blog.jp/2007-05-19

当時はまだ発売見込みも未定だったし、メーカー勤務の立場としては詳しく書く
ことができなかったのでぼんやりとした記事でした。


もっとも、この時の記事はゼロイチの産みの苦しみの真っ最中で、創造性皆無の
上司に対する不満を吐露したかったのが本音です。



IMG_1975.jpg
ところでこの製品って何なのかさっぱりわからないですよね~?

世界最大の楽器メーカー ヤマハ株式会社の調音パネルと言う製品ですが、
良く見かける吸音材とは特徴がかなり異なります。


音(この場合は空気伝搬音のこと)と言うのは、「波」の性質上、反射音と
重なり合うと大きく聞こえる場所と打ち消しあってしまう場所ができます。

特にこのシーンの様に壁際でしゃべると、自分の声と背面からの反射音が
重なってとても不快な響き方を感じるため、使用シーンとしては非常に正しい
と言えます。


吸音材は音を吸うことで残響過多を軽減させるわけですが、一般的に広く普及
しているグラスウールなどの多孔質な吸音材は高域だけを吸い、低域を吸う
ことは出来ません。

そのため、吸音材を入れ過ぎると綺麗な高域は響かず、不快な低域だけが残る
音場になりがちですが、この調音パネルは125~4000Hzと言う広い帯域に対し、
平均吸音率30%と言うマイルドな吸音力を持つため、豊かな響きを損なうこと
なく正確に音源を再現することができます。


とまあ、効果がとてもイメージし難い上、正しく音を再現したいと言うニーズ
自体が少ないため、販売にはとても苦労を伴いました。


タイトルの「プロダクトプレイスメントを知っていますか?」ですが、この様な
商品はTVCFや雑誌広告を打っても中々認知されにくいため、美術協力と言う形で
TVドラマや映画のシーンに使ってもらう事で市場への認知を広めるPR手法の事。
(CMとPRは意図がまったく異なります)


僕が企画の責任者とした当時は、住宅用として開発を始めたものの最初に採用
されたのは、実はグランドピアノの調律室というプロの現場でした。

そこから録音スタジオや評価試験室などで徐々に採用が始まったのが11年前。
僕は当時、ヤマハ(株)のグループ会社であるヤマハリビングテック(株)に在籍して
いて、ヤマハ(株)と共同で調音パネルの製品化に漕ぎつけました。


2010年4月にすべての権利をヤマハ株式会社が引き継ぐことになりましたが、
当時の営業チームに引き継ぐ際に「10年はかかりますよ!」とお伝えして後を
託しました。


産み出すのも大変でしたが、それを育てるのがまた大変。
良くもくじけずに今まで続けてくれたと思います。
価格を見ると一見高額ですが、マーケティングコストがとても重いはずですから
代替品が存在しない現状を考えると、実はコスパが高い製品なのです。


この商品を担当したことで、「俺にはメーカーは合わないなぁ」と認識し
建築設計やランドスケープデザインの世界に戻ろうと決めたターニングポイント
になりました(笑)

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浜松自宅カフェ

●鉄腕原子さん、ストックンさん、junn-arさん、@ミックさん
 nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2020-01-16 19:25) 

浜松自宅カフェ

●ネオ・アッキーさん、yamさん、ありささん
 nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2020-01-22 15:52) 

浜松自宅カフェ

●今造ROWINGTEAMさん、kontentenさん
 nice、ありがとうございます。
by 浜松自宅カフェ (2020-02-10 18:04) 

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