木造住宅の耐震性(その3) [ ・耐震強度、地震対策]
木造住宅の耐震性シリーズ(その3)のお題は
『五重塔は、本当に地震に強いのか?』
坂本先生の推論(事実は判らないので、、、)は、
「五重塔が、耐震的であることは事実」
「実績としても、シュミレーションからも確認されている」
しかし、、、面白いのはここから。
『昔の熟練した宮大工が、地震に強くなるように建てた。』
『昔の大工には、地震に対する知恵と技術があった。』
「と言う定説は間違い。」
「なぜなら、、、」(←本当にこういう言い方です)
「五重塔は風に弱いから!」
過去の大地震で、倒壊した五重塔はないそうである。
しかし、室戸台風では、木っ端微塵に破壊されたらしい。
10数年前に到来し、青森のりんご農家に多大な被害をもたらした『りんご台風』
でも五重塔は被害を受けたそうだ。
「日本において、地震と台風に被災する確立を考えれば、当時の大工、棟梁が耐震性を
考慮したとは極めて考え難い」
と言う論拠でした。
う~ん、納得しました(笑)
次回はシリーズ最終回
『耐震改修は、本当に効果があるのか?』
をお送り致します。
木造住宅の耐震性(その2) [ ・耐震強度、地震対策]
木造建築物の耐震性と、建築基準法の新耐震基準について話すシリーズ第2回。
阪神・淡路の震災(正式には兵庫県南部地震)で建物の倒壊により、亡くなった被害者数は、
5,300人なのだそうです。
■メディアの報道
メディア等では、
「1月17日5時46分と言う、冬の早朝でほとんどが就寝中の地震だから
避難が出来ず、これだけ多数の被害者が出た!」
と報じていたようだ。
(僕も、そんな報道を聞いた覚えがある)
これに対し、坂本先生は真っ向から否定された。
その根拠として、1948年(昭和23年)に起きた福井地震を例に判りやすく解説して
下さった。
■福井地震とは?
日 時 6月28日16時13分 (夏至直後の夕方と言う時間)
規 模 マグニチュード7.1 (兵庫県南部地震と同規模と推定)
震 度 震度7を観測 (福井地震を機に、震度階に7が制定された)
死 者 3,728人 (阪神の震災は5,300人だが、人口密度が1桁違う)
http://www.townnet.com/tsunagu/hukuizi.html
つまり、最も日が長い夕方4時過ぎと言う時刻で、ほぼすべての人が活動している時間帯
での地震。
であるにも関わらず、人口密度を考慮すれば、阪神大震災と同等以上の死者数。
就寝中ではないのに、多数の圧死者数。
これは何を意味するか?
「逃げることができなかった!」と考えるのが正しい。
■旧耐震基準の住宅は10秒で崩壊
旧耐震基準の住宅が地震で倒壊する、衝撃的な映像を観ることができた。
1974年(昭和49年)に新築された木造住宅の、「3次元震動破壊実験」の様子。
兵庫県三木市にある、世界最大の3次元震動台(愛称:Eディフェンス)に乗せられ、
加震されたその住宅は、兵庫県南部地震の地震波を入力された
ほぼ10秒間で1階部分が押しつぶされた。
10秒間の間に逃げ出せれば良いが、2本足では立つこと自体ままならないそうだ。
(兵庫県南部地震を実際に体験した友人の話も同じだった・・・)
■木造住宅の耐震性は壁量で決まる
福井地震の経験が元になり、建築基準法の施行令に壁量計算が規定された。
木造住宅の耐震性(その1) [ ・耐震強度、地震対策]
今回は建築技術者を対象に、「耐震」をキーワードにシリーズでお送り致します。
文章中心になりますが、興味のある方は是非お目通し下さい。
毎年、NPO法人建築技術支援協会が主催する、建築技術者向けセミナーを受講している。
今年度は、6月8日(木)に第一回目の講義が行われ受講してきた。
今回は、「耐震改修の実効性」について、今年3月に東大を退官なさった坂本先生が
(現、慶応大学理工学部)非常に判りやすく解説して下さった。
坂本先生は、長年、木造建築の耐震性について研究され、建築基準法の改正の際にも
助言をされてきた方で、多方面でご尽力されている。
□坂本先生プロフィール
http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/IRS/IntroPage_J/intro70233238_j.html
http://buildcon6.arch.t.u-tokyo.ac.jp/01about_us/sakamoto_isao.htm
その中から、建築に携わる方には、是非知っておいていただきたい事を幾つか採り上げて
坂本先生に成り代わって(無理だけど・・・)お伝えしたいと思います。
基本的に、僕の主観は加えずに、先生の持論、知識をありのままにお伝えしますので、
質問されても回答できない場合があることをご了承下さい。
□シリーズテーマ
(その1)建築基準法における耐震基準の考え方
(その2)阪神・淡路の震災は、真冬の早朝に起きたから被害者が多かったのか?
(その3)五重塔は、本当に地震に強いのか?
(その4)耐震改修は、本当に効果があるのか?
□建築基準法における耐震基準の考え方について
まず、下記をご覧下さい。(セミナー資料からの抜粋です)
現行の建築基準法で求めている耐震基準(いわゆる新耐震)の大本となる考え方がコレです。
きわめてまれに起こる地震に対して、倒壊だけはしない。
きわめてまれに起こる地震の定義とは、
・数百年に一度来るか、来ないか?
・震度は6強から7程度 → つまり震度7は担保しないと言うこと
・横揺れの、最大加速度は300~400ガル(1Gは980ガル)
この事実を知らない人は、意外に多いのではないかといつも思っていた。
「建築基準法を満たす=大地震でも安心」・・・なのだ!と。
耐震設計を行う際は、2段階の地震に対して行うことになっている。
(ただし、小規模な木造住宅では構造計算は義務付けられていません)
■一次設計と二次設計の考え方
□一次設計
・地震動の最大加速度は80ガル程度(震度4~5弱)
・弾性範囲に収める設計 → 地震力を受けても壊れない
・構造的に無傷
□二次設計
・地震動の最大加速度は、300~400ガル
・建物に生じる最大加速度は、980ガル(1G)
・塑性化を許す設計 → 構造体が壊れることでエネルギーを吸収する
・倒壊はしない → 被災後に避難することが可能
■二次設計を超える地震力は担保されない
極論すると、↑こういうことになります。つまり、倒壊してもしようがないと言うこと。
しかし、阪神・淡路の大震災(正しくは、兵庫県南部地震)は全域が震度7ではありません。
地震力は、地震のエネルギー、深さ、表層地盤の性質によって大きく変わってくるため、
地震動が増幅される軟弱地盤では、震度7となるエリアがある。
東海地震における被害想定でも、軟弱地盤エリアは、軒並み震度7が想定されています。
■建築基準法のコンセプト
法律はその条文の第一条にその法の目的が記述されている。
第一条 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、
国民の生命、健康、財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを
目的とする。
構造について要約すると、「建築物の構造に関する最低基準」
その上で、予算と価値感に照らし合わせて余裕を考えて下さいと言うものなのです。
我が家の防災準備(マルチツール) [ ・耐震強度、地震対策]
マルチツールと言えば、アーミーナイフで有名な、ビクトリノックスとウェンガーだろう。
実は僕も、何本か持っているが、殆ど使ったことがない。。。
どちらも非常に優秀なツールなのだけど、僕のライフスタイルには合わなかった。
レザーマンはマルチツールに、プライヤーを付けたことで一躍有名になった
メーカーである。
若き日のレザーマンが少ない予算でのヨーロッパ旅行の際、中古のオンボロ車が何度も
故障し、安ホテルでは蛇口の修理と言う目に合い、根っからの技術屋である、
レザーマンは、「プライヤーがあれば楽なのに!」と思って作ったのが始まりだそうだ。
プライヤーは、ハンドルの中に格納されていて、クルッとハンドルを180度開くと、
ご覧のような本格的なニードルプライヤーに早変わりする。
写真のツールは、ウェーブと言うタイプで、2本目のモノ。
1本目は、10年前に友人とカリフォルニアに旅行した際購入し、車のダッシュボードに
常に入っている。
これが非常に便利で、何かと使うことが多かった。
そのため、めでたく我が家の防災グッズに採用となった(めでたいのか?)
何がそんなに便利かと言うとプライヤーだけじゃなく、その他のツールも
すべてが使える。
僕はアウトドアが趣味なのだが、フィールドで料理する際に包丁として、ほど良い長さで
大量に釣ったニジマスを川原で処理する際にとても重宝した。
また、フルステンレスなので、とても丈夫でかなり乱暴な使い方をしても
ビクともしなかったことが信頼につながった。
缶切り、ドライバー、ヤスリは言うに及ばず、ノコギリも庭の枝払いにかなり活躍して
くれた。
幾ら十徳ナイフと言えども、使えないツールばかりでは重いだけだが、このナイフは
すべてが実使用に耐え、使いやすい大きさなのでとても気に入っている。
ウェブサイトも非常に良くできているので、興味のある方はご覧になってみて
下さい。
我が家の防災準備(浄水器) [ ・耐震強度、地震対策]
水を備蓄している人でも、ポリタンクかミネラルウォーター1ケースと言う人が殆ど
じゃないでしょうか?我が家でも、当然それらの用意はしてあります。
夏場では、大人一人当たり3リットルの水分を摂取する必要があります。
まして、散乱した物や瓦礫を片付けるなどの肉体労働を伴なう場合は、それ以上の
水分補給が必要となります。
18リットルのポリタンクだと、精々6日分。子供を入れた4人では、1.5日分
しかありません。
しかし、浄水器なら風呂の残り湯や雨水が即座に飲料水にできるわけです。
実は、僕は過去に2回、脱水症状の一歩手前までいった事があるのですが、
特に2回目は、生命の危険を感じました。
1回目は、大学時代の少林寺拳法部の夏合宿。
2回目は、真夏の炎天下に荒川の河川敷で自転車のトレーニングをしていた時です。
頭がクラクラして力がまったく入らず、動けなくなり、
「やばい!」と感じた僕は、
近くのマクドナルドに入って、アイスティー大を2杯飲み、1時間程クールダウンして
やっと回復しました。
(今、夏場に自転車に乗る時は、30分で500ccの水を飲むようにしています。)
浄水器は幾つかありますが、MSRのウォーターワークスは、米海兵隊が
使用している(←真偽は保証できません)らしく、フィールドでの使用を良く考えてあると
思い、購入しました。(当時、1万1千円位)
■おすすめのポイント
①ハンドルが大きくポンピングがし易い。
②取水ホースが長いため、水源から直接水を取水して浄化できる。
③取水ホースの先端にはウェイトとフロートが付いているため、取水の水深調整が可能。
(水底の泥水を直接吸わない)
④取水部と浄水の吐出口(本体の底部)が離れているため、浄水が汚染されにくい。
⑤分解メンテがしやすく、セラミックフィルターを磨くことでろ過能力が復活する。
⑥1本のフィルターが500リットル(バスタブ2~3杯)の水を処理できる。
(予備フィルターがあるので、合計1000リットルの水を処理できます)
台風後の濁った川でカヌーをした際、休憩時に飲むコーヒーで試してみたのですが、
快適に使用できました♪
次回は、レザーマンのマルチツールについての紹介です。
---------------以下、浄水器のセールストークです------------------
コンパクトで軽量。日帰りハイキングから長期間の旅行まで幅広くカバーします。
水中のバクテリア、原生動物(最小0.3ミクロン)を濾過、化学成分も除去します。
1分間に1リットルの飲料水を作ることができます。
サイズ:φ68×205mm(高さ) 重量:454g
アメリカ海兵隊も使用している高性能な浄水器です。
米国環境保護局で規定されたバクテリアの除去基準を上回る浄水能力を実現しています。
使用されているセラミックフィルターは汚れても付属のスクラピングパットで
洗浄すれば再生でき非常に経済的です。
トレッキングは勿論海外旅行、防災用にも役立ちます。
我が家の防災準備(ザック編) [ ・耐震強度、地震対策]
ブログ記事は、週末に予め1週間分のネタを仕込んでおくのですが、今回からスタートする
「我が家の防災準備シリーズ」を嘲笑うかのようジャワ島中部地震がおきました。
六千人近い犠牲者の方のご冥福をお祈り申し上げます。
僕は、何を隠そう「防災用品オタク」を自認している。
浜松エリアは東海地震被害想定で、かなりの被害が予測されている。
ライフラインは遮断されるだろうし、新築したばかりの家もどうなるか判らない(えっ?)
出張に行っている間に家族が被災するかもしれない。
ライフラインが寸断しても、援助物資が届くまでの3~7日間は必要最低限の生活が
できるような防災準備をしている(つもり)。
趣味のアウトドア用品を基本に、色々なシーンを想定してパック一つに詰めてある。
今回は、防災ザックを中心にこだわりのツール系の紹介をしてみようと思う。
(この企画面白いかなぁ?厳しいご批判は敢えて承ります・・・)
妻には、「地震になったら、最低このザックは持って行け!」と言ってある。
中身は以下のとおり。
※おすすめは、実際に使ってみて「非常に使える」と思ったモノです。
■調理器具系
・キッチンナイフ【ビクトリノックス製】 ※おすすめ
・コッヘル(チタン鍋のセット)【スノーピーク社製】
・ガスストーブ(コンロ)【EPIガス製】 ※おすすめ
・ストーブ用ガスボンベ 大、中、小×各1【EPIガス製】
・竹割り箸
・チタンのスプーンとフォーク
■給水系
・ハンディ浄水器【MSR製】 ※おすすめ
・浄水器用予備濾材【MSR製】
・浄水受けボトル【ナルゲン製】
・折畳み式水タンク×4L用と1L用【プラティパス製】 ※おすすめ
・浄化した水の滅菌剤
■明かり系
・LEDヘッドライト【ペツル製】 ※おすすめ
・ミニマグライト【マグライト製】 ※おすすめ
・ろうそく×1箱
■医療・衛生系
・ファーストエイドキット
・包帯
・医薬品
・防塵マスク×2つ
・使い捨て下着(男性用・女性用)
・水の要らないシャンプー
・トイレットペーパー×1ロール
■情報系
・防水ラジオ【ケンウッド製】 ※非おすすめ
・予備リチウム電池(CR123)×3個
・メモ用紙(避難先連絡用)
・マッキー(油性ペン)
■万能系
・軍手
・プライヤー付きマルチツールナイフ【レザーマン製】 ※おすすめ
・登山用ロープφ5mm×10m×2本(洗濯干し、間仕切り他) ※おすすめ
・タオル×2枚
・ごみ袋(取っ手付き)
・インナーザック(小分けにして運ぶ際に使用)
■安全系
・ホイッスル(フォックス40ミニ)【モルテン製】 ※おすすめ
鳴子(コルクの玉)が入っていないため、濡れても大きな音で鳴らせます。
声が出ない時でも、自分の位置を知らせることができる。
山での遭難、下敷きになった場合を想定(どこで?)
次回は、MSRのハンディ浄水器についてご紹介致します。
構造材に使える杉材 [ ・耐震強度、地震対策]
2005年11月9日付けの静岡新聞の記事より。
静岡県林業技術センターが、乾燥した静岡県産木材(スギ)の強度実験を行なった。
「乾燥し割れ目が入った木材でも、基準値以上の強度があることが確認され、
構造材としての安全性が証明された」
構造材のうち柱、梁をすべて天竜スギを採用しているため、この記事は朗報でした。
予算が許せば、柱はヒノキ、梁は曲げに強い地松を使いたい。
矢沢永吉似のS棟梁の説明では、
「ヒノキの方が粘りがあって仕事がしやすい。スギの方が技術がいるんだぞ!」
とのこと。
(へぇ~、知らなかったっす!)
■実験結果概要
柱-試験体約40本を上下から圧縮(圧縮試験と思われる)
いずれも国土交通省が定めるスギの柱に必要な強度17.7キロニュートンを上回り、
中には40キロニュートン近くに達する柱もあった。
梁-試験体数十本を横から圧力を加えた(せん断試験と思われる)
すべてが、スギの梁に必要な強度22.2キロニュートンを超えた。
■まとめ
柱も梁も、貫通した割れ以外は基準以上の強度があり、
「多少の割れがあっても不安はない」(池田主任研究員)
■消費者が求める情報
財団法人日本住宅・木材技術センターが消費者などを対象にまとめたところ、
「建築用木材製品に必要な情報」は『強度』が約70%を占めた。
耐震強度偽装事件前でも、消費者は構造強度に対する不安や心配があることが
伺える記事であった。