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16年ぶりの大阪旅行「太陽の塔」後編 [ ・近畿エリア]

16年前の大阪は妻との二人旅でしたが、今回は二人の娘も来てくれたので4人
での家族旅行となりました。

そんな娘も高校2年生と中学2年生。

長女はスマホもあるので、最終日は自由行動にして自立心を持ってもらう事を期待
しました。思った通り、姉妹仲良く力を合わせて大阪の街を楽しみ、待合せ場所
に自力で来ることができました。


その間、僕ら大人はサントリー山崎蒸留所と1970年の大阪万博会場となった
万博記念公園に行き、この春に内部が公開されることになった岡本太郎氏による
「太陽の塔」を間近で見てきました。

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■見上げると圧倒的なボリューム感
仮にもプロの設計者としてこの制作プロセスを想像すると、今の自分にできる
とは思えませんでした。

芸術家として岡本太郎氏の偉大さを改めて知る事ができました。

内部展示では、岡本太郎氏によるスケッチが展示されていて創作の過程が
わかるのですが、それを見る限りは建築やランドスケープデザインのプロセスと
大きく異なると言うものではありません。

しかし、こういった誰も見たことが無いものを作る作業は、スケッチ以降の
多くの人が携わる工程が最も大変ですから、それをすべて束ねて資金も工法も
まとめ上げたエネルギーが凄いと言うことです。


また、何が凄いかと言うとどこの国でもどの宗教でも見る事ができないこの
フォルムは、まったく無から産み出されたものとしか思えません。



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■背面は「黒の太陽」
もの凄ーいメッセージ性を感じますよね。
一見の価値があるのは、この両腕の内部構造です。
一緒のグループの観覧者は一様に「おー!」と驚いていました。
ドリカムがここでライブを開きましたがそれも納得。



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■後ろ斜めからの見上げ
もの凄い立体感覚ですね。
スケッチを描いたら模型を制作しますが、縮小模型では一見OKだとしても、
原寸になると途端にチープになったりアラが見えてしまうものですが、
「太陽の塔」は遠景でも絵になるばかりではなく、下から見上げた時に圧倒
されました。

その感動を伝えたくて、今回は見上げのカットを中心に紹介しました。



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■反対側からの見上げ
実際はこの写真の数百倍のスケールで迫ってきますよ。

この日、初めて「太陽の塔」の現物を見た妻もとても感動した様子で

「来て良かったー!」

と何度も唸っていました。



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■目が怪しく光る夕方もお勧め
内部は1回16人の人数制限があるため、予約制になっています。
知らずに来た方が何人もいましたが、入場できず残念そうでした。

48年前の内部展示も補修を施されて間近で鑑賞可能です。
写真撮影が禁じられているのもありますが、これは是非肉眼で見て体験して
いただきたいと思いました。

特にモノづくりを生業としている方は必見だと思います。


「太陽の塔」が気になった方は、浦沢直樹原作の映画「20世紀少年」で
予習するのがお勧めです(笑)

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16年ぶりの大阪旅行「太陽の塔」前編 [ ・近畿エリア]

この3連休は、年に一度の家族旅行でした。
嫁さんが半年前から計画を立て、3日間みっちりと大阪文化を楽しみました。

折しも来阪した日は、2025年大阪万博開催が決定した日となりました。
週末のニュース番組では大阪各地の様子が映し出されましたが、大阪を訪れた
ばかりの家族にとってより身近に感じらるようになったようです。

今回は二人の娘達を連れた家族旅行で、初日と二日目は家族全員で各地を回り
USJも一日たっぷり堪能しましたが、最終日はホテルをチェックアウトした
後は自由行動とすることにし、指定時刻に新大阪駅の「千成びょうたん」を
待ち合わせ場所とすることだけを決めただけで、時々LINEで状況を知る
程度に努めました。


僕と妻は「サントリー山崎蒸留所」とこの春に内部展示が公開となった
岡本太郎氏による「太陽の塔」の見学をすることにしました。

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■48年ぶりに間近で見る「太陽の塔」
1970年開催の大阪万国博覧会は、父親とバス旅行で行きましたが、
長いバス旅で車酔いが辛かった記憶しか残っていません(笑)

その後、前職時代に出張で大阪を訪れた際に、大阪出身の同僚が運転する
車で万国記念公園の外周を走り、遠景から眺めたのが最後でした。



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今回は内部展示の見学予約が取れたため「太陽の塔」を初めて観る妻と
二人で訪れることにしましたが、正直、期待を大きく上回るものでした。

「太陽の塔」を遠景から見ただけで知ったつもり、分かっていたつもりだった
ようです。


自分が設計者と言う職業の立場で見ると、

「良くまぁ、これがこのレベルで実現したなぁ~!」

と言うのが率直な感想です。


写真では到底表現出来るものではありませんが、興味持った方にはぜひ現物を
体験していただく切っ掛けになればと思い、次回は自分が表現でき得る範囲で
魅力をお伝えしたいと思います。

てなわけで「後編」をお待ちくださいね~(^.^)/~~~

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ネット通販時代での対面販売の意味 [ ・マーケターの仕事]

先週末は、5年前にひなたCAFEが喫茶店から手作りジャム屋に転向する
切っ掛けとなった「まるたま市」でした。

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日曜日の終了時刻を少し過ぎた頃、学生と思しき3人組みの女性がふらりと
立ち寄られたので、ジャムの試食をしてもらいながらそれぞれの特徴や食べ方
を説明すると「へー、面白~い♪」と楽しそう。

「そうかー!」と思い、ネット販売と対面販売の違いや使い分け、楽しみ方を
説明し、これから社会人になるための参考になればと思い、

「人間はAIやロボットが苦手な事をしなくてはいけないからね」

と付け加えたところ「ナルホド~♪確かに…!」と納得してくれ、御一人が
ジャム1点お買い上げになりました。


手作り市の楽しみ方だけでなく、社会人になる若者のためになればとちょっと
したお節介でした(笑)

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なぜ僕は「ビオトープを作りたい」と思ったのか [ ・ビオトープのある研究所]

工事関係者に限らず「ビオトープ」について話していて気付いたことがあります。

それは、「ビオトープ=池、沼地」と言う理解。

ほぼすべてに近い方が、ビオトープとは「池」や「沼」と言う「モノ」として理解して
いたため、「ビオトープとは生物生息空間のこと」と説明を加えるわけですが、それは
「動植物にとって有害な材料を使用しないでね」とお願いをするためでした。


設計段階での僕の理解はここまででしたが、実際に「材料」を選定し「構造」を考える
段階になると、それでは考えが浅いことに気づきました。

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■我が家の庭にある水鉢
この水鉢では最初の頃、近くの水路で捕ったメダカを育てていましたがここ数年は
ヒツジグサを育てる程度でした。
この水鉢に先日、ため池から保護した魚をとりあえず入れたのですが、水が濁って魚が
見えなかったため、寒くなる前の休日を使って水替えをしたわけです。



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すると魚達の泳ぐ姿が見えるようになりました♪
いかがでしょうか?

もちろん、金魚や錦鯉と比べて地味で目立ちませんが、フナやドジョウ、メダカ
ともまた違いますよね。


この魚達(モクズガニもいます)の行動をジ~と眺めていて、幾つか気づいた事が
あります。

これらの魚はモツゴ(クチボソ)ホンモロコタモロコと言ったごくありふれた
魚ですが、都市化街では殆ど見ることができなくなりました。
さらに、ウグイなどとまとめて「ハヤ」と呼ばれる事が多いと思く、写真をアップで
見比べないと中々判別が付きません。



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■観察用のプラケースで魚種の確認
調べるとホンモロコタモロコから分かれて琵琶湖の固有種になったようで、
遺伝子的に近縁種になるため、これらは混雑することもあるようです。
混雑するとどちらかの特徴を持つためさらに特定が難しくなります。


ではなぜ、設計者の僕がこのような魚類学者のような調査をするかと言うと、
ビオトープの工事と密接に関係しているからです。
(実際に魚を飼育して、その行動を見ていて気付きました)


もし、「ビオトープのゴール」を、池の完成までとしてしまうとここまで
する必要はありません。

「ビオトープ(=池)を作ったから、後はお施主さんの方で上手に使ってね!」

で終了です。


しかし、ビオトープを生物生息空間とし、生き物が人の手に寄らずに自立的に
繁殖活動を繰り替えす自然環境をゴールと据えるとしたら、その生物の生態を
知らないとできるわけがありません。

今回、貴重な休日に水鉢の水を替え、透き通った水で泳ぐ小さくて弱く臆病な
魚達
の行動を見て、さらに内なる自分の想いにも気づきました。


「僕はビオトープを作りたかったのではなく、失われつつある日本の自然環境を
 取り戻したかった」


その手段がビオトープだったと言うことに気づきました。


一方で、ビオトープの工事費も保守費用も企業が用意します。

多額な整備費と保守費用がかかる割に利益に貢献しないビオトープが、企業の発展、
継続に寄与することが裏付けられたとしたら意識が変わると思いませんか?
同じ想いを持つ事業者も本当のビオトープで子供の頃に見た自然景観を子供達に
見せたい思ってもらえるかもしれない。

そうすれば、地域の自然環境を復活したり、失われる事の歯止めになるかも
しれないと直感したのだと思います。

街の個性を表現したいと思って、ひなたCAFEをオープンさせたのが今から10年前
ですが、基本となる考えはまったく変わっていません。
それよりも大きな実現の場をいただいたプロジェクトですから、絶対に失敗したく
ないと思ったわけです。



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モクズガニもしっかり生きていました♪
今週はいよいよ地鎮祭。

決めなくてはならない事は山盛りですが、工事関係者にもしつこく話して、
一緒に良いモノを創っていけたら幸せですね。

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保護した魚達は元気でした! [ ・ビオトープのある研究所]

2週間前に「ため池」から救出した魚達の様子を確認してきました。

小魚とは言え千匹近くの魚を約8ヶ月間も素人が飼育するのは現実的ではないと
判断し、その道のプロに有償で預かってもらうことにしました。

まずは捕獲作業と11月分の飼育費をお支払いするため、飼育状況を確認する
のと、保護した魚種を知る事が目的です。

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■モロコ
銀色に輝く魚体が美しくて、写真を見てかなりテンションが上がりました。
タモロコかホンモロコかはちょっとわかりません。
ホンモロコは本来、琵琶湖水系にいた魚で琵琶湖産アユの放流に伴い全国に
広がったようですが、日本の固有種であることは間違いないです。



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■オイカワ(稚魚)
オイカワは子供の頃、近くの川で良く釣っていた魚なので馴染みがあり
ますが、魚体が小さいためオイカワと認識できませんでしたが、背中に
特徴があるとのこと。
オスは婚姻色になるととても綺麗な魚体になりますから成長が楽しみです。

元々は琵琶湖水系の日本の固有種ですが、琵琶湖産アユの放流に伴って
全国に広がったそうです。



飼育池は鳥に狙われないよう上部と側面は防鳥ネットで覆われていて、
常に新鮮な井戸水が供給され、エアレーションも行われていて一安心でした。

その他、モツゴ(通称、クチボソ)とヨシノボリも確認していますが、
どの程度いるのかは今のところは不明です。


いずれにしてもビオトープの生物群としては種類が少ないため、シマドジョウ、
ハゼ科の魚の他、モエビや貝類、水草を用意する予定です。

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静岡県富士山世界遺産センター(後編) [■建築探訪]

先週末の秋の独り旅で行った「静岡県富士山世界遺産センター」の後編。

今回は、展示について簡単にご紹介します。

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■展示棟内のらせんスロープの内観
この建物は、中央の展示棟、北棟、西棟の3棟で構成されていて、富士ヒノキの
木格子で覆われた逆円すい形の展示棟内に入ると、全長193mのらせんスロープを
登りながら富士登山の疑似体験ができる展示になっています。

ゾーンによっては実際の映像ですが、例えば左側の上下に投影されているモノクロ
の映像は、精緻な背景イラストに「登山者の影」が歩く様子が投影されます。
そのため、自分自身の「影」と登山者の「影」が同期し、一緒に登山しているかの
ような体験型展示となっています。


予算と空間の制限があるから難しいとは思いますが、気温や匂い、風なども体験
できたら、更にリアリティのある体験型施設になったかもしれませんね。



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■カフェ&ミュージアムショップ
決して広くはありませんが、丁度良いバランスでレイアウトされている
と思います。



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■ショップゾーンからエントランスホール及び北棟見返し
何気なく撮影したショットですが、お気に入りの1カットです。
普通に撮影して絵になるところは「設計者として流石だなぁ」と思いました。
今の自分ではまだまだそのレベルに達していないですから。



そして、今回の旅でもっとも見たかったのは建築よりも「水盤」の方。

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■北側から
静岡県整備による「富士山世界遺産センター」がなぜ富士宮市に選べれたか?

以下は、ウィキペディアからの抜粋です。
富士宮市に選定された理由は、近接する富士山本宮浅間大社が浅間信仰の中心地
であること、建設地から他の構成資産との近さ(村山浅間神社や人穴富士講遺跡等)、
また中心市街地に位置しアクセス上優れていることなどが挙げられている。


ナルホドね~。
実際に訪れてみると、意外にも中心市街地に立地していて驚きましたし、
高さも想像していたよりも大きくありませんでした。
せっかく造っても人が来ないのでは意味がありませんし、少子高齢化を考えると
無駄に大きい施設よりも小さくても展示が魅力的であり、ランドマーク性も
求められる。

これら発注者側の要望に対し、設計者は的確に答えることでコンペに勝てたんだと
感じました。


【ご参考】
せっかくお越しになられたのであれば、近くにある富士山本宮浅間大社まで散策
されることをお勧めします。
東側を流れる神田川沿いに散策すればすぐです。流れる水はほぼすべてが富士山の
湧水ですからとても綺麗で気持ち良いですし、浅間大社に湧き出る「枠玉池」は
中々の景観だと思います。

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静岡県富士山世界遺産センター(前編) [■建築探訪]

「ビオトープのある研究所」も今月半ばより、建築、外構、ビオトープ工事に
入るため、気分転換を兼ねて富士山方面に一人旅をしてきました。

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■静岡県富士山世界遺産センター
今回訪れたのは、富士山がユネスコ世界遺産に登録された事を記念して、
富士宮市に建てられた静岡県富士山世界遺産センターです。
設計者はコンペで選ばれた(株)坂茂建築設計。

坂茂氏は本プロジェクトの設計者として選定されたすぐ後に、建築界の
ノーベル賞と言われるプリツカー賞を受賞しています。



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■ファサード
逆さ富士部分が地上部分の建築になる造形で、外装には富士ヒノキを
使用しています。

富士山部分の平面形状は正円ではなく楕円形です。
右側のエントランスから館内に入場し、円錐内部にめぐらされている延長
193mのらせんスロープを上ることで、富士登山の疑似体験ができる
展示になっています。


富士登山の経験はありませんが、海外旅行者や脚が不自由な方、体力や健康に
自信が無い方でも、季節や天候に左右されることなく短時間で富士登山の
疑似体験ができる観光施設と考えれば十分ありだと思いました。

次回は、内部の様子を簡単にご紹介します。

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ため池の在来魚、捕獲保護作戦 [ ・ビオトープのある研究所]

土木工事会社で工事監督をしている友人から、それとなくいただいた相談。

「改修工事でため池の水を全部抜かなくてはいけないんだけど、沼地の
 ような場所なので捕獲も飼育もできない。
 ムラマツさんが進めているビオトープに持ってこれないだろうか?」

ビオトープの完成は来年6月末。
仮に捕獲できたとしても、どうやればそんなに長期間生かしておけるか?

建設コンサルタント時代に、似たような設計経験があったので具体的な手法は
すぐにわきました。
住所を教えてもらい、GoogleMapで地形を調べると「日本の在来種」が
残っている確率が高い。
それなら、僕が考えるビオトープにも活かせると直感しました。

まずは予算を押えるため、協力してくれそうな業者に目星をつけて直談判。
最大で幾ら必要か、どのように飼育し、仮に死滅してしまったらどうするか?
概略を決めたところで、クライアントさんに相談し作戦を続けて良いか確認し
水の減り具合を日々確認しつつ、どんな生物が残っていそうか予測し、
いよいよ作戦決行となった。


結果としては、外来種汚染は殆どなく在来種ばかりだったが、単純な生態系で
種類は多くなかった。

しかし、、、

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■捕獲した水生生物の一部
水槽に入れて持ち帰って調べると、モツゴ(クチボソ)、タモロコ、ヨシノボリ、
モクズガニ。
その他にも、ナマズ、ニホンウナギ、ヘラブナ、イシガメを一定数捕獲、保護
できました。

ただし、ナマズやウナギ、ヘラブナは今回のビオトープでは生育できないため、
別の場所に移送することになります。


面倒な仕事でしたが、何もしなければ多くの在来種を死なせてしまう事に
なっていたので、幾らかでも子孫を残すことに協力できたと思います。
お金になりませんが、きっと10年後には評価されるだろうと工事監督と言って
お互い納得しました。

これらの魚達は大切に飼育してもらい、ビオトープに足りない魚やエビ類などを
揃えて、来年6月か7月のお披露目の際に近隣の小学生や幼稚園児に放流を
してもらいたいと思っています。

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